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イギリスとフランスの植民地

 前回、なぜかイギリスの植民地だったところは居心地が悪いということを言った
詩人・金子光晴が、まだ英仏が世界に多数の植民地を保有していた1929年のパリから、ヒントをくれた。
 そして、もう一つ、ヒントを見つけた。
カヌーイストの野田知佑氏が、1965年、英仏の植民地が戦後独立した後のヨーロッパを放浪したエッセイの一文である。


『旅へ』新・放浪記Ⅰ 野田知佑著 文春文庫

(ギリシャのクレタ島にて)
ある晩、インド、オランダ、アイルランド、スコットランド、イギリス、アメリカ、ドイツ、イタリアの青年が一室に集まって酒を飲んだ。
 あれは多分アフリカから吹いてくる生暖かい熱風のせいだったろう。
その晩は最初から全員、妙に気持ちがとげとげしく、厭なムードだった。
 まず、オランダの男が日本の悪口をいった。彼の両親は第二次世界大戦の時、インドネシアで日本軍に捕まり強制収容所に入れられひどい目に遭っていたのだ。
アイルランドの男がイギリスの男に"Fack you”を連発した。
インド人がスコットランド人にからみ、イギリス人がドイツ軍の「アヒル足行進」をからかった。
 アメリカ人がイタリアを一人で旅行する女性がどんな目に遭うか、まず無事では通過できないという話をして、「助平のスパゲッティ野郎」といった。
 ・・・・・・・ぼくがイギリス人の「オックスフォードなまり」をしつこくマネして喋ると、イギリス人の顔色が変った。
アメリカ人がいった。
「イギリスって国はファックングカントリーだね。人を差別するのが何より好きだ。あんな階級差別のひどい国はないぜ。人が口をきくと、その発音をきいただけでそいつの出身階級、出身学校、職業、年収までぴたりと判ってしまう
 彼はオックスフォード大学出の銀行マンとタクシーの運転手の英語を真似てみせた。
気どった英語を喋るには「オックスフォード式どもり」といって、はっきり喋らずにわざともごもごと口の中でどもるようにすると感じがでる。
みんな面白がってそれぞれ「オックスフォード英語」を真似した。
イギリス人はカンカンになり、ぼくに向って「外に出ろ!」といった。
彼の親類の一人が日本軍に撃沈された軍艦「レパルス」に乗っていて、死んだといっていたから、ひそかに恨みを持っていた日本人に八つ当たりしたのだろう。
 よしきた、と外に出るとみんながぞろぞろとついてきた。スコットランド人がバグパイプを持ってきて、「突撃の時の音楽」を吹き、「どんどんやってくれ」といった。
 ぼくは急に頭が冷めてしまい、イギリス人に「悪かった。あやまるよ」といった。
イギリスの男もバツの悪そうな顔をして「いいんだ、いいんだ」といい握手の手を差し出した。
 みんな長い旅をしているから、時々、こういったヒステリー状態が発生する。



 パリのユースホステルはヨーロッパでも最も刺激に満ちた宿舎だった。
・・・・・・ホステルはアルバイトのフランスの学生たちで運営されていて、その学生がみな大人なので気分がよかった。
規則がなんとなくゆるやかで押しつけがましくなく、それでいて気がつくと彼等のいうままになっているのだ。
例えばぼくが時間外にシャワーを浴びていると、係の青年がやって来て、小さな声で「ムッシュー」という。
それだけだが、感じがいいので、「すまんすまん」という気になる。
 モロッコの青年がいった。
これがフランス人の統治のやり方なんだ。「レッセフェール」だね。放任主義でうるさいことは少しもいわない。それで根っこの大事な所だけはしっかり押さえている。いまいましいが、とても効果的だ」。







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