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添乗員を国家資格に・・・

『Travel Journal』(トラベル・ジャーナル誌)1993年9月13日より、抜粋



岡田信二(元運輸省約款小委員会委員・元JATA法制委員)

・・・・次に添乗員の問題であるが、JATAに寄せられる苦情の中で、添乗員の資質、サービスに関するものが絶えない。

ロクに英語も話せないとか、トラブルの時の処置が不適切だったとか、不親切だった、ショッピングばかりに熱心であった、扱いが不公平だった等、資質や業務知識についてのみならず、人間性にかかわるものであるようだ。

 第6次改正当時、国会で「添乗員には国家試験を課すべきだ」と現衆議院議長の土井たか子女史が主張したのに対し、元JATA会長の兼松学氏が参考人として「JATAでは添乗教本を作成し通信教育等を通じ、十分添乗員教育を実施している」と説明し、一応難を逃れたことだった

 第7次改正に当たり、この問題が蒸し返されて「添乗員問題ワーキンググループ」(筆者が座長を務めた)が設置され、JATA、全旅、観光労連、観光部から、それぞれ委員が選ばれて、主任の添乗員の資格、研修内容、研修機関、実務経験等、細部にわたって検討し、答申を提出した。これに基づいて、現行の添乗員の資格、旅程管理研修等、一連の規定が制定されたものである。

 さて今後、この添乗員問題をどうするかであるが、差し当たって研修内容の一層の充実を図り、業務知識やテクニカルな面だけでなく、ホスピタリティーマインドや、とりわけ英語力の向上(トラブル処理、サービス機関との折衝に不可欠)等、真剣に取り組んでほしいものだ。

 また、派遣添乗員の取り扱いについても、よく実態を把握し、意欲を持って就業できる環境を整えることも必要であろう。
反面、添乗員となろうとする者の資質やレベルは厳しく問わなければなるまい。

 添乗は生半可な仕事ではなく、あらゆる事態に際しても適切な処理ができる判断力と能力が求められる。一度添乗すれば何キロか体重が減ると言われるほどの重労働であり、それにふさわしい待遇をするのが当然である

無料で海外旅行をさせてやるなどという認識は古く、だいいち旅行者に対しても失礼であるし、改められるべきである。

 口でCS(カスタマー・サティスファクション)と簡単に言うが、旅行に関する限り、何にもまして優秀な添乗員を付けることを最重要視すべきであると思う。添乗業務は旅行者に対する重要な債務の1つであることを忘れてはならない。






上記は、今から約15年以上前に、旅行業界誌『トラベルジャーナル』に掲載された、岡田信二氏の特集記事である。岡田氏は、元運輸省約款小委員会委員・元JATA法制委員という肩書きでもわかるように、長年、旅行業を牽引してきた一人である。添乗業務についても、 岡田信二『添乗業務教』(日本旅行業協会、1984年)、岡田信二監修『海外旅行の苦情処理』(森谷トラベル・エ. ンタプライズ、1978)という著作がある。

 これを読んでお解りのように、添乗員問題は、添乗員が生まれたときからあったのだ。
これは当然のことで、旅行は、電化製品のような商品を売っての苦情と違って、形のない(無型商品)ものを人間が深く係りながら販売しているのだ。添乗員付きの団体ツアーであれば、添乗員などとお客との人間的トラブルが多少あるのがいわば当然である。どんな職場でも、すべての社員同士が満足に交流していないのと同じで、知的だとか、性格がすごく好いという理由で、100%すべての人間が好意を寄せるとは限らないのである。

だから、旅行者数の増加に伴なって、添乗員へのクレームが増加するのは当たり前だった。

そういうことはある程度承知で、当時、土井たか子議員が問題にしたのは、韓国や台湾やフィリピンにおける買春ツアーであった。その話しの過程で、添乗員が、不健全ツアーを引率し、世界の人権団体から非難の対象になった。ただ、その元は、旅行会社である、と発言していた。

実は、このときから、添乗員は、「添乗員」という総称で呼ばれており、旅行会社は違っても、一つの業務と思われていたと思う。確かに、添乗員の使用者責任は各旅行会社にあるのだけれど、弁護士や会計士や調理師のように一つのプロフェッショナルな領域と考えられていた。
だから、土井たか子氏がいうように、「添乗員には国家試験を課すべきだ」でよかったのではないか!そのほうが、添乗員の待遇改善ためには、良かったと私は思う。

それを、旅行業界側は、現状のまま便利に添乗員を使いたかった。
だから、上記の岡田氏のように、
「・・・一応難を逃れたことだった」、
「この問題が蒸し返されて・・・」などと表現するのであろう。

因みに、東南アジアあたりの買春ツアーは、その後も無くなる気配はなかった。
人権団体が騒いだときは、少し控えめに!していただけだった。エイズ問題がかなり浸透して大分経った、1990年代半ばくらいから徐々に減っては来た。ただ、それは、バブルがはじけて、社員旅行が減ったのが原因かもしれない。その後、台湾、韓国と風営法が施行されて、現地においてもそういう商売がなくなっていった。
 買春ツアーは、基本的に、お客のニーズが最初にあり、それに現地ランドオペレーターの利益が合致する形でおこなわれるのである。旅行業者は、そのことで直接利益を上げようというよりは、その利益のキックバックを現地ランドが、ランドコストに跳ね返す形で、戻してくる。添乗員は、原則、お客の希望があれば、それに応じるようにし、コミッションも多少入る仕組みである。


 岡田信二氏は、上記で、
「添乗員問題ワーキンググループ」(筆者が座長を務めた)が設置され、JATA、全旅、観光労連、観光部から、それぞれ委員が選ばれて、主任の添乗員の資格、研修内容、研修機関、実務経験等、細部にわたって検討し、答申を提出した・・・・」と書いている。

たぶん、昭和57年頃(1982年)のことだと思うが、
これを読んでお分かりのことと思うが、「添乗員問題ワーキンググループ」が、添乗員の資格制度(旅程管理研修制度」を決めたのだ。
そして、この「添乗員問題ワーキンググループ」は、「・・・・JATA、全旅、観光労連、観光部から、それぞれ委員が選ばれて・・・」なのだ。
添乗員の問題なのだが、添乗員の代表が一人も選ばれていない!のだ。
このとき、もうすでに、添乗員は派遣が増えており、委員会などでも、「派遣の・・」という表現が使われている。しかも、「添乗員」という独立した総称を使っておきながら、職業としての添乗員の代表は参加していない。
そして、この歴史は、今でも続いているのである。
途中から、(社)添乗サービス協会の三橋氏(TEI代表)が、添乗員側の代表として、よく委員会などで意見を言っているが、この団体は、添乗員派遣会社を主な会員とする社団法人であり、添乗員にとっての雇用者である。決して、添乗員の意見や希望を主張することはない。


よって、添乗員の資格制度は、旅行会社、添乗員への風当たりを弱める意味合いで始めた制度である。
旅行業界は、「旅行に女はつきものだ」と、買春ツアーに罪悪感は持っていなかったと思う。
ただ、何度もこの問題が浮上するので、こういう問題が出ないように、添乗員の資質向上にしっかりと取り組んでいます!という姿勢をみせるために、始めた制度である。

この制度・・・・・
たった、数日の座学、たった1回の添乗実習だけである。
だから、誰もが、心のどこかで、「こんなことで、りっぱな添乗員になるの?」
という思いを持っている。
添乗員になろうとしている者も思っているし、それを採用しようとしている添乗員派遣会社も旅行会社も思っている。
誰もが、この資格を信用していない。

派遣会社や旅行会社へ行く。
「私は、資格を取りました」
「そう・・・うちはうちですから」
といわれて、また1から勉強させられる。

添乗員希望者にとって、ただ余分な学費と研修費が膨らんだだけである。
結局、誰が得をしたのか・・・・・・・・・


岡田氏は最後に、下記のように言っている。

「・・・派遣添乗員の取り扱いについても、よく実態を把握し、意欲を持って就業できる環境を整えることも必要であろう。」

「無料で海外旅行をさせてやるなどという認識は古く、だいいち旅行者に対しても失礼であるし、改められるべきである。 」から、
添乗員の給料は安くていいんだ!という考え方は古い、と言っている。
この15年以上前から、添乗員の待遇は悪かった。
しかし、上記の言い分であれば、一応、バーター取引であるので、安い給料の分、海外をまあ楽しんできてよ!とも言える。

しかし、こんにちは、どうなったか!
給料はその時代とほとんど変わらないか、または下がっている!
福利厚生も同様に全くない!
そして、やることと言えば、
日本に居るときから、さんざん語学や資料作りだのと、客への電話までかけなくてはならない!
現地では、旅程管理だけではなく、ガイドをしろ!通訳しろ!日記を書け!(素麺つくれ)!などと旅行会社から命令される。
しかも、毎回、客のアンケートで厳しく糾弾される!

結局、この15年間(添乗員の資格制度かできてから約25年)、添乗員にとって、すべてが悪くなっただけであった。
旅行業界も国土交通省も、資質向上の名のもとに、自分たちがうるおい、何でも命令に従う添乗奴隷制度を作り出した。

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