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柳田国男の『旅』

「旅行の役割について」日本を代表する民俗学者、柳田国男の言葉はとても興味深い。
旅行人は先人の言葉に耳を傾けるときが来ている。



林周二著『比較旅行学』中公新書1989年より
「ひとつの国民の発育生長のために“旅行”はどれだけまでの役目を勤めなければならないか。別の言葉でいうならば“旅行”の栄養価値はいかん。」(柳田国男『青年と学問』岩波文庫・43ページ)
 この自問に対し、柳田は答える。「日本の旅行道ともいうべきものは、あらゆる社会の文化現象と同様に、時代につれて、おいおいにその姿を改めてきたが、人はまた現状をもって常態なりと誤解して、その変遷を指導(指をもってその痕をなぞることーーー引用者注)してみようとする念慮がなかった。」つまり人は、現時点の日本人の旅行者の有りようだけを見て、それを旅行本来の本質的な姿であると考えてしまう誤りを、人々は犯している、というのである。
 こうして柳田は、その該博な知見と深刻な洞察をもって、過去の日本人たちの歴史的な旅行観や旅行哲学のかずかずを判評しつつ、つぎのような一つの結論に達する。
 「然らば旅行の価値標準、旅行の第一義は如何。・・・・一言にしていえば本を読むのとそれは同じである。いくら本を読んでも[読者の]志が高くないか選択が悪ければ、ただ疲れるばかりで自分にも益がなきがごとく、旅行にも、愚かな旅行、つまらぬ旅行は[昔も今も]多々あって、しかも一方にはまだ非常に貴重な可能性もあるのである。我々が・・・良書を求めて倦まぬのと同じく、良き旅行というのも、やはり良き読書と同じで、単に自分だけがこれに由って、より良き人間となるのみならず、同時にこの人類の集合生活にも、何か新たなもの、また幸福なるものをもたらしうるか否かに帰着する。」(同、51ページ)のである、と。

・・・・・略・・・・・・・・・・・旅については第一に、人は志を高くし、良書を読むように、良い旅行を志し選択しなくてはならぬ。詰まらぬ本を読んで、人生の時間を無駄にしないことが重要なように、良い旅行を計画して自己に役立てることが大切である。詰らない旅をして時間やお金を空費してはならぬ。第二は、旅行行為は、たんに自分自身のためだけでなく、旅行によって読みえた知見をもって隣人の幸福に役立てることが要訣だ。旅行人の心得は読書人のそれと全く同様である、と。

・・・・・・こう見てくると、書籍や旅行・観光地などの商品づくりは、人間の豊かな精神的栄養価値づくりに貢献するものでなければならない。たんに売れればよいだけの書物や雑誌を作るのではなく、積極的に良書を企画し、それを普及する努力、心組みが必要であるように、人間の向上に資する旅行や観光源を開発し、それへ向けて旅行者を誘致誘導することが、ツーリスト業者としては必要である。



林周二著『比較旅行学』中公新書1989年
1926年 生まれる
1948年 東京大学(経済学部)卒業。
  東京大学講師,助教授,教授(教養学部)を経て退官。
  その後、静岡県立大学(経営情報学部),
  明治学院大学(経済学部)の教授,その他を経て
現在(2004年) 流通科学大学特別教授。
東京大学,静岡県立大学各名誉教授。

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