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大きいツアー・コンダクターの責任 林周二氏

大きいツアー・コンダクターの責任
林周二著『比較旅行学』中公新書1989年より


互いに見識らない人びと同士を集めた団体旅行の全行程を楽しく、かつ成功させるか否かは添乗員つまりツア・コン氏個人のリーダー的資質に掛るところが大きい。世にリーダーシップといわれるものには、いろいろなタイプのものがある。大将が陣の先頭に立って積極的に集団全員を引っぱってゆくものも、たしかにリーダーシップの典型的なものであるが、そのような形のものだけがリーダーシップなのではない。表むきは、指揮権を発揮したりしないが、つねに下手に出てソフトに、集団を自己の意図通りに、抵抗なしに旨く引っぱって行くのも、また巧みなリーダーシップの型である。世のツア・コン氏の場合に望まれるリーダーシップのあり方は、まさにそのようなものでなければならないと考えられる。ツア・コン氏のこの種の旨いリーダーシップの発揮の仕方によって、日本人の集団行動型旅行は、外国の現地などでも、もっと評判のよいものとなりうるであろう。
 例えば日本人の南方旅行(ミクロネシア、ビルマ、インドネシア、中国など)の場合なども、わが旅行者はとかく旧日本軍同胞の慰霊碑だけを認めて、そこへ額づいたり、花を捧げたりしたがるものである。しかしそのような場合には、少なくとも日本軍戦死者だけでなく、戦争に巻き込まれて犠牲になった現地の人びとの碑とか、さらには同時に旧敵国軍人の慰霊碑へも同じように弔意を表すべきである。往時の大戦では、勝手に日本のほうで押しかけて、現地の一般人へ多大の迷惑をかけた以上、そちらを先に弔問することはむしろ全く当然のことだし、また戦が終わった以上は、敵味方の区別なしに、祖国のために戦って死んだ人々に対しては弔礼をとるのが、国民外交としての採るべきみちである。
 こういったことは、日本人の団体旅行者自身が、とかく日本的にだけ考え、気がつかないことであるから、団体旅行のツア・コン氏が、ひとこと発言して、「現地の戦争犠牲者の碑もあるそうですから、ひとつ私たちも日本人としてお参りしましょう・・・・」と言えば、団体客一同も理解して、ツア・コン氏のアドバイスに従うであろう。
 団体客を、現地での習慣にしたがわせるとか、現地人の心を逆撫でしないように行動させるとかいったことは、団体旅行の場合のツアー・リーダーの責任といってよく、その点でツア・コン氏各位の責任、役割は大きいと知るべきである。こんなことをここに記すのも、本書の読者のなかにはツア・コン職の方も必ずやおられるに違いないと考えるからである。

林周二著『比較旅行学』中公新書1989年
1926年 生まれる
1948年 東京大学(経済学部)卒業。
  東京大学講師,助教授,教授(教養学部)を経て退官。
  その後、静岡県立大学(経営情報学部),
  明治学院大学(経済学部)の教授,その他を経て
現在(2004年) 流通科学大学特別教授。
東京大学,静岡県立大学各名誉教授。
  日本国有鉄道・顧問(1970―1980) 等





前ブログで紹介したユーラシア旅行社の添乗員はお客様に対してどのように責任を取るのだろうか?
[現地にて素麺を作って出したり、お茶菓子を配ったりするなど]の業務のプロセスに、現地人への視点は一切含まれていない。
利益追求のため卓上で作られたサービスに、現地人への思いやりが存在しないのは当然なのかもしれない。
海外で出会うユーラシア旅行社の添乗員が、大名の最後尾をくっついて歩く足軽のように映るのは、ツアー・リーダーとして、いろんなことを考え悩みながら、責任をもって判断する役割が与えられてないからではないだろうか、と思った。

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