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バス事故と旅行会社の責任

 
 何ヶ月か前になると思う。
テレビの報道特番で、海外におけるバス事故を取り上げていた。
その番組で、印象的だったのは、バス事故の被害者たちのやるせない思いだった。怒りをどこにもっていったらいいか悩み苦しむ姿だった。
 
  バス事故の場合、原則、旅行会社には責任はない。あくまでサプライヤーであるバス会社側の責任となる。旅行会社に責任が発生するとすれば、よっぽど旅行会社がサプライヤーを選任するにあたって、「安全確保」上の過失があった場合に限られる。
 「責任の発生しない」旅行会社は当初、好意でお客様のためにバス会社側との「中継ぎ」を多少してくれると思うが、話し合いがこじれ調停の必要性まで出たりした場合、そこまで深入りしよりうとはしないだろう。
 旅行業法では、それで十分だということになる。

 お客の立場からすれば、バス事故を最初から想起して旅行会社の条件書に目を通しているはずはないから(目を凝らしても意味はわからないだろう)、こういうトラブル発生時、自分たちが最終的に納得するまで旅行会社は協力してくれるのだろうぐらいに思っているはずだ。
 特に、事故の原因の一端は企画した旅行会社にもあるのではないかと疑念を抱いている被害者家族にとって、「それが当然だ!」と考えるほうが自然である。
 しかし、実際は、「もう過ぎたこと、」「早く忘れたい」とでもいう様にとても事務的に旅行会社は処理をするのではないか。
 その誠意のない態度に、被害者たちは、旅行会社へ対する不信感をますます強くするだろう。
 こうなってくると、被害者たちは、バス会社という外国のサプライヤーにたいして、自分たち自身で交渉するしか道はなくなる。
 もう旅行会社に頼みたくない。
 いや、旅行会社にもどこかに事故に起因する過失があるはずだ!と考えるようになる。
 
 日程に無理があったのではないか?
 ドライバーは過重労働だったのではないか?
 ドライバーの労働時間は法律違反ではないのか?
 バス会社は、未登録ではないのか?
 旅行会社はそういうことをすべて知っていたはずだ?
 旅行会社が、不正を指示したのではないか?
  

 テレビ番組のなかで、HISのトルコバス事故の被害者の言葉だったと思うが、次のような趣旨の発言をしていた。
「英国では、事故の場合、手配旅行会社がお客様に代わりバス会社と交渉してくれる。日本では、私たちが、外国の人と交渉しなければならない・・・・・・」

 国際弁護士でも依頼しなければ、フツウの日本人のオジイサン、オバアチャン、オジサン、オバサンが自分で交渉することなんて不可能だろう。
 旅行会社だって、それが嫌だから、ランドオペレーターという世界でも特異な制度をつくったのではないか?

 これが現実だ・・・・・
それでいて、JATA(日本旅行業協会)は、日本の旅行業約款や旅行条件書は、お客様をたいそう保護しているような言い方をする。
 
「特別補償規定」「旅程保証」などとお客のために役にも立たない過剰サービスを偉そうに「保護」と言い、本当に当該企画ツアーに参加したことにより多大な苦しみを味わっている者たちを「保護」しようとはしない。
「・・・責を負いません」
「・・・となる場合もあります」
「・・・ご確認ください」
「・・・あらかじめご了承ください」

自分たちを「保護」する文言ばっかりである。

わたしは、テレビで被害者が言った「英国では、事故の場合、手配旅行会社がお客様に代わりバス会社と交渉してくれる。日本では、私たちが、外国の人と交渉しなければならない・・・・・・」ということが本当なのかどうか、英国の旅行会社のホームページを覗いてみた。
その条件書の『旅行会社の責任』部分を読んでみた。

日本では、ヨーロッパのランドオペレーターとしてとみに有名なKUONI
ヨーロッパでは、スイスに本社を置くグローバル旅行会社として名が通っている。
その『クオーニ・トラベル』英国の旅行条件書から抜粋。
(私が訳したので多少の誤訳はお許しください)

*http://www.kuoni.co.uk/EN/Services/about_kuoni/Pages/TermsConditions2010.aspx


旅行手配における当社の約束(責任)
5.10 Our Commitment To You For Your Holiday Arrangements

a)当社のパンフレットに記載されている『航空機利用の旅行』は、ATOLによって保護されています。
当社は、民間航空機関(CAA)により、旅行会社(ライセンスNo.ATOL0132)の認可を受けております。
万が一、予期せぬ事態が発生して、当社が支払い不能におこたった場合でも、CAAが、お客様の旅行中の安全を保証し、旅行代金の払戻しを約束してくれます。
より詳細な情報を知りたい場合は、どうぞATOLのウェブサイトにてご確認ください。

b)当社は、当社、または、当社の関連先企業、もしくは、サービス提供事業者(サプライヤー)の過失によって、お客様が当社(英国)にて当初、予約された内容とパンフレットとが相違していたり、想定範囲を大きく逸脱するような内容だったり、お客様もしくはお客様の一部が傷害、死亡等を蒙った場合には、その責任を申し受けます。
例外として、もし、旅行内容の不履行、お客様の障害や死亡等が、当社、または、当社の関連先企業、もしくは、サービス提供事業者(サプライヤー)の過失ではなく、お客様および旅行手配上に関係しない第三者によって引き起こされた場合、または、当社および当社の関連先企業およびサービス提供事業者(サプライヤー)が努力しても、予知することのできない不可抗力の事由の場合、当社はその責任を免責とさせていただきます。

c)お客様による苦情において(傷害、病気、死亡は含まない)、当社がお客様に支払う補償金の額は、お客様が当該旅行手配において当社に支払った額(旅行傷害保険など追加旅行費用は含まない)の2倍をもって最大とする。
当社が最大限の補償金をお支払いする事由は、債務不履行が全行程に及んだ場合、または、お客様の旅行に見合う対価を提供できなかった場合に限られる。もし、部分的な苦情であれば、それに見合う適当な補償金を算出したうえで、一人あたり一日につき50ポンドを最大として支払います。

d)旅行中、当社の旅行手配の不履行、または、お客様の傷害、死亡、病気などが発生した場合、その原因が、航空機、船、列車、自動車(バス)などの運送機関のときは(出発前に英国にて予約)、当社の責任において、運送機関の国際的協定に基づいて、決められた補償金をお支払いする用意があります。
この国際的協定は、以下を指します。
航空機に関して、モントリオール協定(1999)、ワルシャワ協定(1929)・・・1955年のハーグ議定書、および、1975年のモントリオール追加議定書の改定箇所を含める。
船舶に関して、アテネ協定(1974)。
列車に関して、ベルン協定(1961)。
自動車(バス)に関して、ジュネーブ協定(1973)。
上記の協定の有効期間は、お客様と当社との契約期間中に限定される。
傷害、死亡事故に関して、モントリオール、およびワルシャワ協定に明記されている航空会社が負うべき責任は、乗客が航空機に乗降する時点、および、機内にて蒙った乗客の身体への死傷に限定される。
もし、これらの詳細についてお客様の希望があれば、当社のホームページからダウンロードできます。
ぜひ、お客様自身にて、各国際協定にお目を通され、国際協定の限定事項および補償額などについて確認することをお勧めします。
また、それ以外に、ご利用予定の運送機関が明示している条件書もお読みになり、運送機関がお客様に負うべき債務および補償額などをご確認することをお勧めします。
EU諸国間においては、搭乗拒否、搭乗機キャンセル、遅延の場合、航空会社より払戻金および補償金を受け取れる機会があります。その詳細については、各EU空港、もしくは、航空会社にてご確認ください。
しかしながら、そのような場合の返金は、旅行費用の払戻しそのものを当社が自動的にお客様に約束したという意味ではありません。たとえお客様にとってそれが正当な権利だとしても、航空会社から支払われた金額は、こういう弁償額から控除されます。
もしお客様の利用航空会社が、このような規定に応じないようならば、Air Transport User’s Councilへご連絡ください。

e)当社のサービス提供事業者(サプライヤー:ホテルや運送会社など)は、必ず、予約もしくは運行に関する取引条件書があります。取引条件書は、お客様とサービス提供事業者の責任等について明記してあります。これらの取引条件書は、当社、もしくは、当社のサービス提供事業者の店舗にて、受け取ることが可能です。

f)もし、当社が、お客様の傷害、死亡、病気に対して、お客様に金銭的補償をおこなった場合には、お客様は、当社または当社の委託保険業者の求めに応じて、お客様に傷害、死亡、病気の原因を与えた個人または団体への当社の訴訟等に協力をしなければなりません。

g)旅行中において、航空会社または空港側の指示のもと、遅延、経路変更、スケジュール変更が、発生することがあります。それらのトラブルに関して、Kuoniでは管理不可能ですので、それに伴う責任を負うことはありません。
当社の予測できない不可抗力によって、出発後から終了までのあいだに、お客様の当該旅行の変更、中断を余儀なくされた場合でも、当社はそれに伴う補償金、弁償金を支払うことはありません。
当社では、お客様は旅行に見合うだけの充実した保険に加入することをお勧めしています。また、荷物および携行品の紛失、破損は、保険会社を通して請求してください。
当社へ直接、持ち込まれたトラブルに関しては、d)項で明記したように、国際協定に従って、規定限度の補償額しかお支払いすることができません。




クレーム(苦情)について
6.3 Dealing With Complaints

当社は、ABTAの会員です。ABTAの指導のもと、高品質なサービスの提供・維持に努めております。
当社は、お客様からの苦情に対して、前向きに対処していく所存でおります。
しかしながら、場合によって、お客様は、当社との問題をCharterd Institute of Arbitrators(IDRS)の任じた調停所へ申し出ることが可能です。
この方案では、お客様にとって、簡易であまり費用もかけずに、調停を受けることができます。
この方案では、お客様ひとりにつき5000ポンド、1件の予約につき25000ポンドを超える訴訟は、受付けできません。かつ、傷害や病気などに関する訴訟も申し込みできません。
ただ、調停所への申し出金額が一人につき1000ポンド以下の軽微な傷害、病気を含む苦情に関しては、裁定可能です。
仲裁申請書およびクレーム報告書は、IDRSにて受取りになり、当該旅行の帰国日から9ヶ月以内に申請ください。


 まず、旅行会社は、「当社、または、当社の関連先企業、もしくは、サービス提供事業者(サプライヤー)」の過失の責任を負うと言っている。
 このヨーロッパを代表する旅行会社KUONIの旅行条件書では、日本とちがって、サプライヤーの過失の責任まで負うと言っている。
 旅行会社が責任を負わないのは、旅行者本人と第三者の過失だけである。

 そして、そのサプライヤーの過失に関して、旅行会社が責任を負う範囲は、サプライヤー側の条件書と各国際協定に明示された限りであると言っている。
 だから、それらをよく読んでおいてください。もし詳細がわからないときは、当社へ連絡ください・・・と。
 
 それで、もし当社が立て替えたとき、サプライヤー側などと法律的な問題となった場合には、お客は当社に協力しなければならない・・・・・・・・・


 確かに、こう読んでいくと、旅行会社がお客様に代わってサプライヤーと交渉してくれるようだ。
 それにしても、日本の旅行条件書とこうも違うものか!と驚く。
 
 お客様の「保護」に関して明確に表現しているのではないだろうか?
 旅行会社の意識が違うのだろうか?

 日本でも、その気になれば、JATAのお客様保護の役割など、明記することができたのではないか?
 その気がなかったのか?
 でも、そのようなことが、最終的に、旅行会社の「保護」にもつながるような気がするのだが・・・・・・・





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