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非日常の日常

『辺境・近境』村上春樹著 新潮社(1998年発行)

 今の時代に旅行をして、それについて文章を書く、ましてや一冊の本を書くというのは、考えだすといろいろとむずかしいことですよね。ほんとにむずかしい。だって今では海外旅行に行くというのはそんなに特別なことではありません。小田実が『何でも見てやろう』を書いた時代とは違うんです。行こうと思えば!つまりその気になって、しかるべさお金さえ出せばということですが!まあだいたい世界中どこにでも行けるんです。アフリカのジャングルにだって行けるし、南極にだって行けます。それもパックで行くことだってできる。
 だから旅行に関していえば、たとえどんな遠くに、どんな僻地に行くにしても、「これはそれほど特別なことじやないんだ」という認識がまず最初に頭にないと、駄目だと思うんです。過度の思い入れとか啓蒙とか気負いとかを排して、いわば「いくぶん非日常的な日常」として旅行を捉えるところから、今の時代の旅行記は始まらざるを得ないんじゃないかな。「ちょっとそこまで行ってくるわ」というのはいささか極端だとしても、「まなじりを決して」という感じだと、読んでいるほうとしてもいささかしんどいですよね。
 そういう意味では、アメリカ大陸を車で横断するのと、四国で一日三食、三日間ただただうどんを食べ続けるのと、いったいどっちが辺境なのかちょっとわからなくなってくるところがあります。むずかしい時代です (笑い)。

[雑誌「波」1990年9月号 初出誌]



 この文章は、1990年9月に村上春樹氏が発表したものである。
 その時代に、村上氏は『非日常の日常』として旅をとらえている。
 その後、携帯電話が普及し、インターネットが生まれ、世界のグローバル化は常態化した。

 村上氏のいった『非日常の日常』の旅も世代を問わず国を問わずグローバル化されてしまった。
 




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