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村上春樹の旅

『辺境・近境』村上春樹著 新潮社(1998年発行)より


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 僕はだいたいにおいて、実際に旅行しているあいだは、そんなに細かく文字の記録はとりません。そのかわりいつも小さいノートをポケットに持っていて、その都度その都度ヘッドラインみたいなものをそこに並べて書き込んでいくんです。たとえば「風呂敷おばさん!」とかね。あとでノートを開いて「風呂敷おばさん!」という言葉を見れば、ああそうだ、そうだ、トルコとイランの国境近くのあの小さな町にあんな変わったおばさんがいたな、とすっと思い出せるような態勢にしておくんです。要するに自分にとっていちばんわかりやすいかたちのヘッドラインであればいいんです。そういうのを海面に目印のブイを浮かべるように、片端から書き連ねておくわけです。書類引き出しの見出しと同じです。そういうのは何度も何度も旅行しているうちに、だんだん自分なりのやり方がつかめてくるんです。
 日にちとか場所の名前とかいろんな数字とかは、忘れるとものを書くときに現実的に困るから、資料としてできるだけ丹念にメモしておきますが、細かい記述とか描写はなるべくなら書き込まないようにする。むしろ現場では書くことは忘れるようにするんです。記録用のカメラなんかもほとんど使いません。そういう余分なエネルギーをなるべく節約して、そのかわりこの目でしっかりいろんなものを見て、頭の中に情景や寡囲気や匂いや音なんか、ありありと刻み込むことに意識を集中するわけです。好奇心の塊になる。とにかくそこにある現実に自分を没入させることがいちばん大事です。肌に染み込ませる。自分自身がその場で録音機になり、カメラになる。経験的に言って、そういうもののほうが、あとになって文章を書くとさにはずっと役に立つんです。逆な言い方をするなら、いちいち写真を見なきゃ姿かたちが思い出せないようなことって、そもそも面白い生きた文章にはならないです




 さあ、旅に出よう!
 作家・村上春樹にはなれないが、旅人・村上春樹には誰もがなれる!



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