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旅行会社の付加価値

「旅」をつくる12人の男たち「旅」をつくる12人の男たち
(1999/06)
芦原 伸

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 この本では、その当時勢いの良かった個性的旅行会社の代表者など12人をを著者の視点で肯定的に取り上げている。
 とくに、著者の旅行ジャーナリスト芦原伸氏は、自分や自分の母上もリピーターである『ワールド航空サービス』を冒頭一番で取り上げて、この会社や会社の設立者である現・社長の菊間潤吾氏を絶賛している。

第一章 ヨーロッパの田舎を仕掛ける 21世紀への本格的な旅づくり
菊間潤吾(ワールド航空サービス)より 抜粋

 
・・・・・・・・・・・・
 同じ旅行ツアーでも、ハイグレードとハイクオリティーは違う、と菊間さんは言う。
 ハイグレードは、一流レストランや五ツ星ホテルや飛行機のビジネスクラスなどのハードの部分を言うが、ハイクオリティーとは、あくまで旅の満足度であって、一流レストランではなく、たとえば、市場の中の見かけは屋台のような庶民的な料理店でも、十分に楽しく美味しく食べることができるのだ。
 「旅行が終わった後、お客様が思い出に話されるのは、そうした市場で食べた素朴で地方色のある味なんですよ」
 市場の手作り料理は、たとえ安くても、思い出を残した、という意味では、ハイクオリティーのものとなるわけだ。
 『ローマの休日』というオードリー・ヘップバーンとグレゴリー・ペック主演の名画がある。
ローマ訪問中の小国の王女が、アメリカ人記者に街を案内されて恋をする、という筋立ての映画だが、これがお仕着せのロールスロイスで、王侯貴族に案内されたなら、王女はさして感動はしなかったろう。ペックがオートバイに乗せて、庶民の中に立ち入り、素顔のローマを見せたから王女は感動したのだ。
  ワールド航空の旅の演出は、このアメリカ人記者の行動によく似ている。

ということは、ワールド航空のお客は、オードリー・ヘップバーン(小国の王女)ということだろうか?

 著者は映画が好きなようだ。


・・・・・・・・・・・・・・・
「旅行会社は、しっかりとした知識やノウハウを持って独自性を出さないと、難しい時代になりますね。主催旅行という観点から見ると、映画でいえば、黒澤明やスピルバーグのような、作品に確固とした付加価値を持たないと、料金だけで競う旅行会社は淘汰されるでしょうね」
 と、菊間さんは言う。
「旅行商品も一つの作品なんです。企画はシナリオであり、添乗員は現場の演出家なんです。管理者はプロデューサーで、ワールド航空の作品一つ一つが同レベルでのクオリティーを保っていることをチェックしているのです」

 そういう意味では、確かに旅行づくりと映画づくりとはよく似ている。
 映画づくりは監督・プロデューサーが企画し、シナリオを書き、役者、カメラをロケーション(現地)に送り出し、演出し、その収録した素材を、監督と編集者がシナリオに沿って場面構成する。企画はいつも新鮮なテーマで作られ、切り口が斬新でなければ、観客は映画館まで来てくれない。たとえ仕入れた素材は同じであっても、監督の感性や力量によって、良くも、悪くもなるのである。
 ワールド航空サービスの社員は140人。東京、大阪、名古屋、福岡、札幌に支店がある。その一人一人の社員が、企画から仕入れ、手配、営業、集客、説明会、添乗とオールラウンドに業務を担っている。
「企画一つ一つに血肉が注がれないと、旅行商品は死んでしまいます。社員はすべての過程に立ち合いますから、自分の作品づくりに熱が入るのです。これが大手のように、セクションに分かれていると、逆にみなが責任を振り合う結果になってしまいます」

 たとえ映画市場が衰退し、映画館の閉館が続いても、黒澤明やスピルバーグの映画は不滅である。そこには他のものには代えられない付加価値があるからだ。 
 


 そのとおりだと思う。
 付加価値がないと、旅行会社も淘汰されてしまうのかもしれない。
 黒澤明やスピルバーグ監督の映画が不滅であるのは、他のものには代えがたい付加価値があるからなのだろう。しかし、ワールド航空サービスの付加価値とというのは、はたしてこの巨匠たちの映画と同じ類のものなのであろうか?わたしには、とても同じようなものには見えない。

 ワールド航空サービスのシナリオがとてもすばらしいことは認めよう!役者もいい!
 しかし、監督、プロデューサーが鈍才であれば、せっかくのシナリオも役者も本領を発揮できずに幕が下りることになるのではないだろうか?
 著者が、『・・・たとえ仕入れた素材は同じであっても、監督の感性や力量によって、良くも、悪くもなるのである。』と言っているように!

 著名な映画監督や文豪が、歳月とともにその名声だけを付加価値として愚作を創作する例はあまたこの世の中に存在するであろう。
 観衆たちが何をもとめて映画館へ足を運んだのか?
 リピーターという王女たちに囲まれて、「裸の王様」でいる自分に気づかないことだってありえる。

 その王女たちが、「王様、あなたは裸です!」とアンケートに書くとはとても思えないのだが・・・

 ワールド航空のツアーに参加すると客は旅行の終わりにアンケートを提出することになっている。このアンケートは、会社が一番重要視しているもので、そこには参加者の生の意見が書かれている。
ホテル、食事、現地ガイド、添乗員の態度、希望するツアーなど細かい項目に分かれている。

 そうしたツアー参加者とのコミュニケーションが、旅の内容を向上させ、原動力となっている。



 冒頭の母親(著者の母上)の話に戻ると、母は友人や仲間に呼びかけ、最終的にはワールド航空の広報のような役割を進んで行っていた。筆者は一度だけ、他社のツアーを勧めたことがあったが、参加した母親グループは、ビジネスクラスを利用したにもかかわらず、悪評紛々であった。それはすでにワールド航空のツアーの良さを知っていたからだ、と思う。
 ワールドはこれまで、手荷物の成田までの無料配送や、現地観光での日本語によるイヤホーン・サービスなど客の側に立っての″楽しい旅づくり″をしてきた。将来は自前の専用チャーター機を使っての旅までを視野に入れている。
 世界的に見れば、大型クルーズ船などは、欧米では旅行会社がチャーターして、運営しているものが主流である。飛行機の国際線で、それができれば、画期的な試みとなることは間違いない。専用機のチャーターはワールド航空の顧客サービスの集大成ともいうべきものとなるだろう。





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この記事に対するコメント

どうなるのかな

チャーター便て大人数のツアーですね。あんまり大勢だといきたくないな。疲れそうですね。

URL | 旅行好き #-
2010/08/21 12:32 * edit *

No title

これを読んで色々思った。  このブログの著者は内情を知っているからこういう批判、物の見方が出来る。  しかしほとんどの旅行好き、たぶんこういう本を読む程度の人達。    一般の消費者に当たる人達。 何度かツアー旅行に参加して、それを良き思い出としている善良な人達。  お金を出してこの本を買い、自分の体験とオーバーラップさせて、さらなる自分の旅に期待を膨らませる人達は、そうは思わないであろう。
何故なら読んだ人たちに、これからも旅行を大いなる楽しみとしてもらう為にも、書かれているからだろう。

ここで思うのは、おにぎりを作ったり、オプションに無いハプニングを計画したり、一つ一つはいい事だろう。  だが一つ一つは良い事・悪い事ではない、という事実が問題である。 こういうやり方は読む人、聞く人が注意を払っていないと分からない内に話を持って行かれてしまう。 
 ブログの著者の様に特に内情を知らなければ、単純に「いいなぁ~」と思ってしまう。

 もっとも私はたかだか10間程度の旅行でおにぎりが恋しくなるような輩は旅行に行くな と思ってしまう。  聞けば香港・台湾程度の近場(3~4日)でも日本食が食べたいとぬかすのが居るそうだ。  「行くなよ~」と言いたい。  だけどそれじゃぁ経済が成り立たない、旅行業界も発達しない。

 三島由紀夫が確か言っていた~ ながすぎた春 だったかな~ 「善良であるのなら、上品であるべきだ」とか何とか・・・成程と思う。
 しかしそういう上品でない人達もが・・三種の神器が欲しい、車が欲しい、お家が欲しい・・っと頑張ったお陰で今日一般庶民も国外の物見遊山に行けるように成ったのだ。
 確かに日本経済のこれまでの発展は固定された階級社会ではなかったからだが。

 おにぎりと上品と話の主旨が違うではないかと思うであろうか?  厳密な言葉の定義から言えば違うかもしれない、だが吾人はこういう感覚も礼儀の内と考える者である。

 私も日本人である。 旅の途中でおにぎりが出てきたらうれしいであろう。  
 だがやはり旅行に行くのならそれなりの覚悟と言う物は必要だろうと思う。  そして思うのである。  本当に旅行が好きで旅行会社を作ったりする位の人であれば、それくらいの気持ちは持っていたのではないだろうか?   まだ若くてお金も無い頃・・・
 それともチューインガムを噛みながら、占領国を土足で踏み荒らした連中の様に過ごしたのだろうか?

 月日が、そしてお金が人を変えてしまったのだろうか・・・
 個人の貴重な体験であったはずの物を逆手に取ってしまったとしたら残念なことである。
 いわゆるメーカーの商品開発ならそれでいいのだろうけど・・

 話が戻ってしまうが経済と言う事を考えるとこういう今ある旅行業界の流れは変わらないのかもしれない。 需要と供給によって経済は成り立っているからだ。
 取りあえず三種の神器が揃う様になった頃、お上はもうちょっとこの国の舵取りについて深く考えるべきだったのかもしれない。  真に国力を増す為にも。  

URL | 春雨太郎 #-
2010/08/20 00:41 * edit *
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