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おにぎり

「旅」をつくる12人の男たち「旅」をつくる12人の男たち
(1999/06)
芦原 伸

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 この本では、その当時勢いの良かった個性的旅行会社の代表者など12人をを著者の視点で肯定的に取り上げている。
 とくに、著者の旅行ジャーナリスト芦原伸氏は、自分や自分の母上もリピーターである『ワールド航空サービス』を冒頭一番で取り上げて、この会社や会社の現・社長の菊間潤吾氏を絶賛している。

第一章 ヨーロッパの田舎を仕掛ける 21世紀への本格的な旅づくり
菊間潤吾(ワールド航空サービス)より 抜粋

   ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 
 旅行費用の高さ、安さはともかく、旅行者を病みつきにさせる、秘訣は一体何なのだろうか?
 
 「それは参加された方が一本、一本のツアーに本当に満足してくれているからです。それとやはり企画力ですね。当社では、うちの顧客が、何を求めているのかが十分に分かっていますから、おのずとツアー内容に反映されるんですね。たとえば、ヨーロッパの街で一日、自由行動日があるとします。他社だと、そこでオプショナル・ツアーを売るでしょうが、うちの場合は決して無駄な旅行費用は使わせません。観光バスの中から見るだけでは旅はつまらない。だから、たとえば″地下鉄に乗って見ませんか?″と添乗員が声をかけて、お客を地下鉄に乗せるんです
 ツアー客は自分で切符を購入し、車内に腰掛け、自分で旅の体験をする。
 そうすると切符購入方法の違いや車両の違い、乗客の風情が日本と比べられ、いかにも個人旅行しているような気持ちになる。

 かつて昭和天皇が、ヨーロッパを旅行された時、初めて自分でお金を出して買った地下鉄の切符を一生大切に保管していた、という有名なエピソードがあるが、熱年層にとって、何が一番嬉しいか、をワールド航空のスタッフは知りぬいているのだ。旅におけるクオリティーとは、単にグレードではなくて、旅の満足度なのである。

 ・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・・

  ワールド航空のツアーでは、企画段階から日々の食事のメニューなど細かい部分まで検討されている。
 レストランでも、同じ料金内ならば、コースメニューの一つを削り、大皿の盛り合わせ料理に振りかえる。それを参加者全員で小皿にシェアする。どこで客の目が輝くか、企画者がよく見極めているのである。
 かつて筆者はワールド航空のツアーでエジプトに行ったことがある。
 現地一過間ほどだったが、数日経つと、さすがにアラブ料理には飽きてくる。クスクスやタジン、鳩料理など地元料理もおいしいが、日本人には脂肪の多い料理が連日続くと、さすがに胃にもたれてくるのだ。熟年層にはなおさらのことだろう。そんなある時、若い添乗員がおにぎりを作り、部屋毎にルームサービスをしてくれたのだ。
エジプトの砂漠を見ながら、ホテルでおにぎりを頬張ったことはいまだに忘れ得ぬ思い出だ。そうした客への目配りが、長年積み重ねられ、ワールドの財産となっているのだろう。
これには後目談がある。あまりに張り切り過ぎたためか、添乗員が最終日に高熱を出してしまった。その時、客たちは怒るどころか同情して、「頑張れよ⊥と励ましながら、ホテルのチェックインや空港での荷物の持ち運びを手伝ったのである。
 添乗員は全員社員、という鉄則が、こうした場面で、最も有効に発揮されている。
 プロの派遣添乗員ならば、おにぎりなど作らないし、またたとえ熱がでても、客はワールド航空の社員にしたように、エールを送り、手助けするようなことはしなかっただろう。



 上記ではこのように言っている。

『「たとえば、ヨーロッパの街で一日、自由行動日があるとします。他社だと、そこでオプショナル・ツアーを売るでしょうが、うちの場合は決して無駄な旅行費用は使わせません。観光バスの中から見るだけでは旅はつまらない。だから、たとえば″地下鉄に乗って見ませんか?″と添乗員が声をかけて、お客を地下鉄に乗せるんです」
 ツアー客は自分で切符を購入し、車内に腰掛け、自分で旅の体験をする。
 そうすると切符購入方法の違いや車両の違い、乗客の風情が日本と比べられ、いかにも個人旅行しているような気持ちになる。』

 これはたいへんいいことだと思う。
 お仕着せの旅だけではなく、主体的な旅を味わってもらう。お客様がほんとうの旅人になれる瞬間である。自分で考え、自分で悩み、自分で感じることができる。こういうことが、あとあと旅の記憶として脳裏から忘れえぬ想い出となるのである。

 しかし、そうなると、このあとの話はどう解釈したらよいのだろうか?

『そんなある時、若い添乗員がおにぎりを作り、部屋毎にルームサービスをしてくれたのだ。
エジプトの砂漠を見ながら、ホテルでおにぎりを頬張ったことはいまだに忘れ得ぬ思い出だ。』

 これは著者自身の体験による思い出だが、これほど依存的で保守的な体験はないであろう。地下鉄の切符を自分で買い、地元の者たちと同じように列車に乗ってみる、のとは、大違いである。現地でも外国人用に料理したような現地料理に食傷気味になったから、添乗員がつくったおにぎりに大満足し、あとあとまでの想い出としてしまい、最高の目配りのサービスなどと言ってしまう。

 そして、このようなことは、プロの派遣添乗員ではしない!という。
 はたしてそうか?
 社員だろうと、プロの派遣だろうと、おにぎりをつくるだろう!
 なぜなら、この旅行会社のマニュアルに絶対事項として「おにぎりをつくる」ことが記載されており、そのための用意を日本から持ち込んでいるのだ。逆に、もし、おにぎりをつくらないことがあれば、この会社により糾弾され二度と添乗をさせてもらえないことは確実である。
 この添乗員の目配りでもなんでもない。そうおもわせるパフォーマンスなのだ。

 わたしは、添乗員自身が自分の体験から、そのような日本のモノを用意していったのならまだわかる。お客のためをおもってしたことだろう。たとえば、過去にエジプトで体調を崩されたお客様がいて食事も水分も取れずにほんとうに辛い思いをさせてしまった。その体験をもとに、エジプトのツアーでは、レトルトの白かゆや梅干し、粉末のポカリスエットを持っていくというのであればわたしはわかる。あくまで、そのようなお客様対策として自分で試行錯誤した結果であり、その結論の対象の相手は、その添乗員の目にははっきりと見えているのである。
 上記の「おにぎり」は、あくまでマニュアル先にありきなのである。添乗員には対象は見えていない。おにぎりをどこかでつくることだけが、出発前から決まっているのだ。それは、過去のアンケートなどで、この著者のようなお客様から「・・ホテルでおにぎりを頬張ったことはいまだに忘れ得ぬ思い出だ!」という好評をいただいた統計結果から編み出されたパフォーマンスのひとつなのである。

 こういうパフォーマンスの誘惑にはまってしまうと、とどまることを知らなくなってしまう恐れがある。
そして、この手のお客様は、その度ごとに、「・・・いまだに忘れ得ぬ思い出だ!」となる。
 こういう偽善的パフォーマンスにすぐ気づく者、または、偽善的パフォーマンスに居心地のよさを感じないない者は、リピーターとはならないのだ。

 また、こういうパフォーマンスは、当然、旅行会社の損得勘定の上に成り立っていることをよく認知すべきである。まともな人間なら嫌になってしまうこのようなパフォーマンスを継続できる添乗員は、わたしの見たところ、その添乗員自身がその損得勘定を自分に取り入れたような者達の気がしてならない。つまり、損得のためなら何でもできる。裏返せば、損得がなければ、もしくは、損をするのであれば、180度本性が変わる!

 こう考えていくと、最初に記された、フリータイムに地下鉄などに乗車させてあげるというような体験も、お客のことを考えてはたしておこなっているのかどうか疑問と言わざるおえない。
 まあ、お客にとっては、ハプニングのようにみえるこのようなサービスも、添乗員にとっては、出発前から決められたノルマであり、間違いの許されない業務のひとつであろう。


 今、大手をふくめ多くの旅行会社が、添乗員にお客への過剰サービスをマニュアルなどで強いる。偽善的パフォーマンス、選民的サービスは、高額なツアーから格安ツアーまで多少なりとも取り込まれている。
 こういうサービスの元祖が、ワールド航空サービスである。ワールド航空サービスは現社長の父上が1971年に設立した。その父上は、以前、ロシア旅行社を設立・経営していた。現社長の菊間潤吾氏はワールド航空サービスに1975年の入社だ。この同じ釜の飯を食べた同胞たちは、その後、皆、似たような過剰サービスの旅行会社を設立していった。
 ホンダトラベル、ユーラシア旅行社・・・・・・
 そして、いろいろな旅行会社で、その会社の出身者たちと出会うが、ほとんど金太郎飴のごとく似た性格なのだ。


(株)ワールド航空サービスは、昭和四六年(一九七一)に設立された。
 創立者は菊間利通氏(現・会長)で、当初、外神田にオフィスを構えた。決して広いオフィスではなかったが、他社にはない独創性のあるツアーを作ろうと、菊間会長の高い志のもと活気があふれていた。
 菊間会長は、「日ソ旅行社」(現・ロシア旅行社)の創始者で、最初はソビエトや中国などの文化交流のための旅行事業が主な仕事だった。かつて日本から多くの若者たちが旅立ったソビエト船「パイカル号」の生みの親でもあった人だ。もともと旅行会社にいたわけではなく、文化交流、国際親善といった観点から旅行業に足を踏み入れただけに、当時から他の旅行会社とは違い、その国を本当に理解してもらえるような旅作りがベースになっている。
 設立当初のスタッフは六人だった。菊間潤吾さんは、当時学生だったが、アルバイトで出入りした後、三期日に入社する。



 今では、世界のあっちこっちで、おにぎりやら素麺やらおでんやら・・・・・作らされている。
 お客様は一応、「おいしかった、ありがとう」と食べる。
 当然だと思う。

 わたしは、JATA(日本旅行業協会)に、添乗員がこのような材料を持たされて現地で料理することは違法行為ではないのか?と聞いたことがある。
 そのとき、JATAの方は、「そういうものを提供すること自体は違法ではない。ただ、そこから食中毒なり起これば、そのサービス提供者として旅行会社の責任はとても大きい」とのことであった。

 


  

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この記事に対するコメント

Re: おにぎりのからくり

くろねこ 様

 ご指摘、感謝いたします。
 今後ともよろしくお願いします。
 管理人より 

URL | InTouch #-
2010/08/23 22:57 * edit *

おにぎりのからくり

元社員です。潤吾氏が常務だったころの話ですが。。
あのおにぎり、厳密に言えば「マニュアル」ではないのです。
あくまでも、添乗員の「気持ち」だ、と。
ですから、おにぎりの経費は添乗経費としては認められません。
個人の持ち出しです。
でも、アンケートなどでおにぎりを出さなかったことがばれると、
添乗手当て没収というペナルティが課せられました。
おそらく、食中毒なんかを出してしまった場合、
あれは義務ではなく添乗員個人の勝手な行為だと言い抜けるためでしょうね。
ちなみにおにぎりについて否定的な意見をアンケートに書いたお客は、
即ブラックリスト入りでした。

URL | くろねこ #XAeaEvCM
2010/08/23 22:18 * edit *
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