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貧すれば鈍する

 ヨーロッパのランド(ツアーオペレーター)は、アジアと比べたら、まだプライドを持って仕事をしているイメージがある。
 それでも、現地の一般的会社と比べて、労働条件などかなり劣悪なことをよく聞く。ANAハロー・パリ支店の担当者が亡くなった原因は何だったのか?ワーキング・ヴィザのない日本人を不安定なまま働かせているいう噂も聞く。昨今のような、タイトな日程、添乗員のマニュアル化、現地係員対応ツアーの増加で、トラブルが発生した場合、ランドを頼るのがあたり前のようになってきた。ちょっとしたことで、添乗員も客も、日本の旅行会社社員も、ランドへ電話をかける。以前なら、かなり強く「業務時間外」とか「そんなことぐらいは自分でやりなさい」と苦言していたランドも、いまは、利益優先で強くは出れないようだ。

 アジアはもっとひどい。
アジアのランドにはプライドがないのか、または、気にしないのか、または、気にしていたら、商売にならないのか?とにかく、受注するために、粘っこいセールスをするのがアジアである。旅行会社から値下げの圧力がかかるのか、こちらからダンピングするのか、現地手配分をこれでもか!という価格までコスティングする。これでは、儲けはないのではないかと誰もが確信するまで値段を下げてくる。
 以前は、ランドフィーが、0円!ということすらあったのだ。つまり、現地手配分が無料!そのうえに、旅行会社が往復の飛行機代を乗せて、ツアーパンフレットを作成して販売している。
 このからくりは、旅行会社は、ランド0円の部分に関して関知しないという暗黙の了解を生み出したようだ。
ランドは、0円にした現地手配部分(バス代、食事代、ホテル代、ガイド・観光入場料金など)を、お客をお土産屋に連れて行ったコミッションで稼ごうとする。そうとうのコミッションを稼ぐ自信があるから、無料にしたのだ。そのつけを払わされるお客はたまったものではないだろう!毎日、ショッピング、ショッピング、ショッピング、ということになる。
ランドからしたら、意地でもショッピングしてもらわないと、大赤字である。こちらも必死である。
客のなかには、ショッピングにうんざり!して、バスから降りない者や、ホテルから団体行動をキャンセルしようとする者さえ出てくる。ランドは、背に腹はかえられないので、お客を恫喝したり、現地到着日、現地出発日という客を拘束できる日に、どうにかショッピングへ入れ込もうとする。

 あまりのその横暴ぶりに、お客は当然、旅行会社へクレームを出すが、旅行会社は表向きは謝罪しても、ツアー内容を変えようとはしなかった。その態度に、政府の側が怒って、2005年、旅行業法が改訂された。

(禁止行為)
第十三条旅行業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。
一第十二条第一項又は第三項の規定により掲示した料金を超えて料金を収受する行為二旅行業務に関し取引をする者に対し、その取引に関する重要な事項について、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為
2 旅行業者等は、旅行業務に関し取引をした者に対し、その取引によつて生じた債務の履行を不当に遅延する行為をしてはならない。
3 旅行業者等又はその代理人、使用人その他の従業者は、その取り扱う旅行業務に関連して次に掲げる行為を行つてはならない。
一旅行者に対し、旅行地において施行されている法令に違反する行為を行うことをあつせんし、又はその行為を行うことに関し便宜を供与すること。
二旅行者に対し、旅行地において施行されている法令に違反するサービスの提供を受けることをあつせんし、又はその提供を受けることに関し便宜を供与すること。
三前二号のあつせん又は便宜の供与を行う旨の広告をし、又はこれに類する広告をすること。
四前三号に掲げるもののほか、旅行者の保護に欠け、又は旅行業の信用を失墜させるものとして国土交通省令で定める行為
旅行業法施行規則
(禁止行為)
第三十七条の九 法第十三条第三項第四号の国土交通省令で定める行為は、旅行者に対し、旅行地において特定のサービスの提供を受けること又は特定の物品を購入することを強要する行為とする。

太線の部分の意味は、無理やりお土産屋に入ることを強要してはいけない、ということである。バスで待っているのもよし、そのお店に入りたくないので、そのへんをブラブラしたり隣の店に入るのもよし、ということである。

 いまは、ランドフィー0円などということはないが、それでも、多くのランド(ツアーオペレーター)は、ショッピング・コミッションによって、最終的な売上げの帳尻をあわせようとする慣習は治ってないのではないだろうか。
 このようなアジア地域の添乗は、とてもつらい。旅行会社と暗黙の了解のうえでなりたっているランドの立場を考えると、ガイドがショッピングへ案内することに添乗員として口をはさむことはできない。添乗員はお客のもううんざり!という顔を目にしながら、ガイドに、「ショッピングへ連れて行くな!」とは言えないのだ。せいぜい、「1件、減らしてもらえない?」とか「ショッピング時間を少なくできない?」というくらいである。
「今回のおきゃく様、買物しません!わたし、今月、収入、0、です!」などと、ガイドにいわれちゃうと、お客とガイドのあいだにはさまれた添乗員は、その落としどころに困るのである。このようにガイドに、基本給のない国も多いのである。

 こういうアジア・ツアーの一番の弊害は、「観光」そのものをおもしろくなくさせていることだ。旅行というものを「商品」ととらえ、経済(お金)の立場でしか考えない構造が、ほんとうに旅行というものをおもしろくないものにしてしまっている。
 世界遺産「万里の長城」だって、写真屋や土産屋がなければ、もっと有意義な観光になっているのではないか?香港やシンガポールで、どうしてあんなおもしろくもない「タイガーバームガーデン」に行かなければならないのか?しかも、タイガーバームまで買わされて!

 旅行会社やランドにとって、よい観光地とは、「無料」または、コミッション益のあるのようなところを指すのではないかと思えてしまう。

 このような発想は、日本の国内ツアーではあたり前のように存在していた。
格安ツアー、とくに、バスツアーでは、おもしろくもない観光地とショッピング満載である。添乗員自身が、「こんなおもしろくないツアー、よく行くよなあ・・・」と感じるものが、ほんとうに多くないか。自分でも、自分の両親でも絶対に勧めない!というツアー。パンフレットのうたい文句をみて、恥ずかしくなるような観光地は多くないだろうか?コスモス畑、ひまわり畑?・・・タダな場所ならどこでも観光地なのか?

 せっかく参加したお客も必死だ!どうにか楽しい!とおもわなければ、このままでは帰れない!お隣のオバサンにバカにされる!損したまま帰れないのだろう!どんなに性格の悪い人間でも、探せばひとつぐらい取り得があるのではないか?という雰囲気で、必死で、「楽しかった!」という理由を探そうとしているように見える。大きなトラブルでもないかぎり、この必死さで、タテのものもヨコに見えてくるから不思議だ。
 あとは、帰ったあと、すぐ忘れれば、いいのだ。

 ただ、こんなことでいいのだろうか?
人間を鈍感にすることで、旅行業が成り立っていいのだろうか?柳田国男氏が言ったような、旅行が学問と!まで悟りを開かなくてもいいとは思うが、明日への希望や成長に結びつくような体験や気分転換になってほしい。

 そのためには、ランド、ガイドたちが、「貧しく」ないことが大切だと思うのだが・・・・・

 


 




 



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