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新日本トラベルと阪急トラピックス

 1980年代から1990年代の格安旅行会社といえば、「国際ロータリー旅行」と「新日本トラベル」が代表的だ。 

「国際ロータリー旅行」は、1990年前後だったと思うが、ワンマン社長の村山氏が留学関係の事業部だけ切り離して、残りを日本信販に譲渡した。実際そのころの「国際ロータリー旅行」は、多くの金銭的トラブルをお客や取引業者とかかえており、倒産も秒読み段階に入っていたようだから、社長としてはいい取引だったのではないか。その後、日本信販のニコスツアーは、国際ロータリーの格安イメージからの脱皮を図ったが、パットしないまま、今日では他社の主催ツアーのただの旅行代理店になってしまった。

もう一方の雄、「新日本トラベル」は、「国際ロータリー旅行」亡き後の1990年代、格安ツアーをリードした。一時は、旅行会社の年間総取扱高のベストテンに入ってくるほどのツアーの催行率を誇っていた(新日本トラベルは国内ツアーを取り扱わない。海外ツアーのみ)が、1990年代後半から阪急交通社が、トラピックスという統一ブランドで、「新日本トラベル」よりさらに格安で海外市場に参入してきたせいで徐々にその地位を奪われていった。それまで、国内市場において、阪急交通社は格安粗悪商品の大量販売でその名声?をほしいままにしていたが、海外では、「グリーニングツアー」という阪急にしては良質なツアーを提供していた。

その阪急が、ついに、海外市場において、国内で培った格安のためのノウハウを実践しはじめたのだ。

1999年に、新聞広告出稿量が「トヨタ自動車」を抜きランキング1位
2002年に、海外旅行取扱高業界第2位

この頃のトラピックスの勢いは、すさまじいものがあった。

あまりの粗悪品で受注を嫌がっていた添乗派遣業界もいつの間にかトラピックスを中心に回りだしていた。
それにあわせて、「新日本トラベル」のツアーが減少していった。あれほどの催行率を誇り、新人添乗員の登竜門といわれた「新日本トラベル」だったが、次第に見る影もなくなっていった。
「新日本トラベル」も社長の交代とともに格安旅行からの脱皮を図ろうとしたが、最後は、2004年、株式会社エヌオーイー(旧ニューオリエントエクスプレス)に吸収合併された。「新日本トラベル」というブランド名は残してはいるが、もう昔の新日本トラベル「バカンスツアー」ではない。


「国際ロータリー旅行」も「新日本トラベル」も確かにひどいツアーだった!
いい加減なツアーだった。いい加減な社員だった。そしていい加減なお客様だった。
だから、添乗員もいい加減にならざる負えなかった。

格安ツアーをつくるためには、飛行機などの運送機関やホテルを安く仕入れるしかない。
飛行機の分乗や現地合流はあたりまえだった。郊外のホテルもあたりまえだった。
安くするために、なかなかギャランティ(保証金)できなかったのだろう、飛行機やホテルの変更もよくあった。
人件費も安く抑えないといけないから、新人添乗員でいいという会社であった。

彼らは、格安ツアーを造成しているという自覚があった。
安くするためかなり無理をしており、お客様からクレームがくるリスクも自覚していた。
だから、添乗員に対しても、「いろいろあると思うけど、頼むね」という気持ちがあった。
添乗員にとって何が一番大変なのかを彼らは自覚していた。

ツアーパンフレットには、必要以上のことは書かなかった。
余計なサービス内容や「親身な添乗員が何でもする」、というような語句はなかった。
その表記からお客様は自分が格安ツアーに参加したことをある程度意識させる文面だった。その証拠にお客様は、必要以上のことをあまり期待してこない、つまり雑な意識のお客が多かった。観光がある程度満たされれば、それ以外は期待しない。実際、観光内容と食事は他社とそう遜色はなかったのだ。

ギャランティ(保証金)できない以上、どうしてもリスクを軽減する施策はできないのであって、社員もアバウトな感覚でいないとまいっちゃうことになり、その添乗も「こんなこともあります」という適当な態度でいないといつも謝るはめになる。そして、お客も「安いんだから、こんなもんかな」とおおらかでいないと自己嫌悪になるという寸法である!

ただ、こんなにひどい格安ツアーではあるが、この添乗業務は、法令でいう旅程管理業務を遵守してくれていたのだ。
添乗業務と旅程管理業務はイコールではない。
添乗業務とは、「旅程管理業務またはその他、旅行に付随して当社が必要と認める業務の全部又は一部を行わせることがあります」と旅行業約款に書いてある。
添乗業務といった場合、その他の業務が含まれるのである。
そして、その他の業務は全体の10%以内と決まっている。
今、多くの旅行会社が、10%以内であるべきその他の添乗業務を添乗員にこれでもか!と押し付けてくるのだが、上記の格安旅行会社は、法令順守で、添乗員は旅程管理者という態度で仕事をやらせてくれた。
旅程管理業務とは、ツアー中に日程表通りに日程が運ぶように運行管理することである。運ばなくなるようないろんなリスクを取り除く業務である。この業務は、添乗員の主業務であり、お客様のためにどうしても必要な業務なのである。添乗員にとって、お客様のためを思ってできる業務なのである。本来の添乗、自分で考える添乗ができ、それこそが添乗員の生き甲斐になるのである。ひどいツアーで、旅行会社に文句を言いながら、それでも添乗員自身ある程度、満足感も実感できたのである。



このような添乗員の意識を大きく変えてしまったのが、前述した阪急交通社のトラピックスであった。
この旅行会社が、すべての元凶のもとであった。

粗悪品の代名詞のごとき阪急交通社の国内ツアーのモデルをそのまま海外のトラピックスに持ち込んできたのだ。国内ツアーで、宿泊業者、バス会社、お土産屋など多くの取引業者を泣かせてきたモデルをそのまま海外に持ち込んだのだから、苦しむ人々がついに海外まで広がったことを意味する。


新日本トラベルよりさらに安い商品を造成するためには、当然、新日本トラベルが手をつけなかった部分に着手する以外ないのだ。

今まで国内で実施していたショッピングを海外においてもこと細かく指示してきたのだ。
今までは、現地における慣習もあり、ショッピングについては旅行会社があまり深く係らないのが一般的であった。それを観光時間に影響が出るほど、提携の土産屋と細かく、入店時間やコミッションを取り決められていた。
観光時間をお客様の満足いくようにと考えるとショッピングの時間があまり取れなくなるのだ。
毎日、似たようなお土産屋に何件も行くのだから、お客様は当然、観光に時間を割いてほしいと思っている。添乗員はそのことを痛いほどわかっているのだけど、阪急交通社からは、お客様の評価の高い添乗員より土産物をたくさん売った添乗員ほど評価するという指示があり、添乗員は常に旅行会社の利潤とお客様の満足度の板ばさみになった。
もし、お土産屋に立ち寄らなければ、後で大問題になる(添乗員側の理由は常に認められない)。
お土産屋も阪急交通社とぎりぎりの契約をしており、お客様が買い物をしないとなるとお店の存亡の危機となった。ヨーロッパにおけるコミッションは、現地の慣習として、売り上げの%という方式であったが、この頃から国内で行われていた人頭税(一人入店につき金額が決まっている)+売り上げの%が導入された。これは、トラピックスのお客様のようにほとんど買い物をしない場合でも、人頭税分のコミッションをお土産屋は旅行会社へ払わなければならないのだ。
土産屋から笑顔が消えたのは言うまでもない。

このようなショッピング以外に、車内販売もよくある。
ワインやペンダントなど、現地に関係があるか疑わしいものまで、売れたら儲かるという感じで販売を命令される。
海外ではほとんどなかった団体集合写真。
新日本トラベルでも手をつけなかった食事・・一般的には3コースメニューと呼ばれる前菜+主菜+デザートが昼食、夕食に手配されているが、トラピックスの場合、2コース(前菜+主菜)だけのときがある。
そして、ホテルにおける朝食以外、常にまずいのだ!

そして、上記のようなツアーを大量の新聞広告やパンフレットで集客するのである。
そこには、新日本トラベルとは違って、たくさんのお客の気をひく文言、写真がちりばめているのである。至れり尽くせりのそのパンフレットを見れば、誰もが格安粗悪商品ということを忘れてしまって申し込むのである。
実態は、新日本トラベル以上の粗悪商品であることも知らずに!

阪急交通社は、こうして集まった大量の旅行に無知なお客様を、トラピックスというオートメーションの中に流し込んでいったのである。
それは、まるでトヨタの自動車工場のように、ラインの上をお客様(自動車)が流れ、観光を含むサービス(パーツ)を添乗員を含むスタッフ(工員)が組み込んでいくのである。最後にアンケートという検査で、どこの部品に欠陥があるのか調べるのである。
決して、彼ら自身には欠陥はないのである。
このオートメーションをうまく作動させるために、出発前の添乗員の打合せから帰国後の添乗員の報告・精算まで、こと細かに決められたマニュアルが作られ、添乗員をその実行者として、阪急交通社は常に監視したのである。
旅行会社がパンフレット上でお客様と約束した大量のパーツを、ラインの脇に立って、マニュアルどおりに、ただひたすら添乗員ははめ込んでいくのである。

私には阪急交通社のお客様への態度は、こう感じる。
撒き餌をして、安物のルアーを相当数、垂らしておけば、必ず、魚が食いつく。
食いついた魚は、煮て食おうと焼いて食おうと、こちらの勝手だ!


そこには、新日本トラベルの時のように、
「ひどいツアー!でも、お客様にどうにか楽しんで帰っていただこう!」
という感情が差し挟む余地はない。
ただ、ひたすら、次から次へのやってくる、マニュアルに書かれたサービスを無機質にこなしていくだけである。
感情を持った時点で、添乗員は自己バランスを崩すのである。
「お客様がかわいそうだ」という気持ちの行き場はどこにもないのである。
それを新日本トラベルのように言える会社ならまだいい。
一方的にマニュアルという法律で支配され、それに逆らってオートメーションを乱すような行為をすれば、恐ろしき弾劾裁判で処罰されるのだ。
派遣添乗員の場合、団体責任を取らされて、他の仲間の添乗員も出入り禁止になることもある。
だから、感情を棄てて、自ら進んで、オートメーションのコマとしてパーツをはめこんでいくのだ。
阪急交通社にとって、添乗員ももう、ツアーの部品でしかない。

格安競争の中で、お客様へのサービスがまた一つ、また一つと増えていく。
当然、お金はかけられない。
部品である添乗員に、オートメーションでするべきマニュアルが一つ書き加えられるだけである。

阪急交通社のトラピックスという商品が生まれて、10年ほど経つ。
この歴史は、添乗員の人権が失われた歴史である。
現地ガイド、アシスタント、ドライバー、お土産屋、現地手配会社の受難の歴史である。
世界を見る目が曇ってしまったお客様にとっても、旅行代金以上の損失の歴史である。
自己中心的な日本人に接した地元の人々に、嫌なおもいをさせてしまった歴史である。

その土地を旅させていただいているのに・・・・・・・申し訳ありません




ただひとつ、救いはあるのだ。
トラピックスの添乗員は、直属の阪急トラベルサポートを含め、十数社の派遣会社が出入りしている。
これらの添乗員は、言葉は悪いが、烏合の衆である。
新人からベテランまで、老若男女、入り乱れている。
一筋縄でいかない添乗員がたくさんいる。
魂までは売らない!添乗員が冷静に添乗している。

数年前から、このような添乗員が、待遇の改善を求めて立ち上がった。
阪急交通社は、こういう人たちを排斥するのではなく、「こういう人たちがいてくれてよかった」と考えるべきだと思う。
本当に阪急交通社をおもっているのは、こういう人たちじゃないか、とも思う。
添乗員・旅行業界ー労働相談センター・スタッフ日記

こういう添乗員がいない旅行会社もいるのだから・・・・・
クラブツーリズム
ユーラシア旅行社
ワールド航空サービス
・・・・・・・
こちらは皆、魂まで売ってしまったのだろうか・・・・・
いや、買われてしまったのだろうか・・・・・・・


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この記事に対するコメント

私はNOE・阪急・旅物語を知るが客に問題がある

貴方のような客は多いだろう。私は添乗員で客を変えるのではなく、2~3回参加して客層に問題があるから旅行会社を変えます。
添乗員に無理難題を押し付けて自分の子孫・親戚がどのような扱いをされているか考えたことがありますか?
恐らくツアー参加者は大企業の従業員ではなく、誰からも指図されない自己中心的・意固地な事業経営者や家族が多いでしょう。
もっと違う視点から物事を判断できれば私のように評判が良くなるはずです。自分の欲望を満たす為の旅行なら何も残らない。所詮、正規の価格で購入できない貧困者が集まり、集団行動するので、何のマナーも秩序もないでしょう。一個人客で誰もが注意ができないのも現実です。子供や孫に伝えるべきことが沢山あるはずです。

URL | 笠谷陽子 #-
2013/06/23 19:11 * edit *
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