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梨元勝の添乗時代

腰の低い人、頭の高い人―人づきあいのコツ、教えます腰の低い人、頭の高い人―人づきあいのコツ、教えます
(2001/03)
梨元 勝

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 僕は大手旅行代理店の臨時添乗員、つまり、列車や観光バスにお客さんと一緒に乗って、彼らの世話をするというアルバイトをしたのです。
 これが、当時の僕にとっては、楽しくてしかたがなかったのですから、サービス業にもともと向いていたのかもしれません。
 いろいろな思い出がありますよ。
 いまは、ツア・コンというと、かなり待遇もよくて、お客さんと同等の席に座って、ただ案内をすればいいという感じのようですが、当時は 夜行列車で観光旅行に行ったときなど、お客さんをとりあえず席に座らせて、座席下にゴザを敷いてお客さんが寝られるようにするという感じでまさに、お客さんの付き人のような立場でした。
 そうですね、こんなことがありましたね。
 夜行列車のなかでみんな疲れて眠っています。ふと見ると、お客さんのなかのおばあちゃんがひとり目をあけて、あたりをキョロキョロ見回しています。でも、立ち上がろうにも、通路には、一般のお客さんたちがたくさん新聞紙を敷いたりして座っている。
 おばあちゃんにしてみたら、動きようにも動けないのです。
 とっさに僕はカンを働かせて、通路に寝ているお客さんを「すみません、すみません」とまたぎながら、なんとかそのおばあちゃんの近くまで行き、「お茶が飲みたいのではないですか」なんて声をかけると、これが大当たりで、僕がまた戻ってお茶を届けてあげると、心から喜んでくれました。
 そのとき、「人が喜んでくれる仕事って、いいなぁ」と思ったものです。

 また、観光バスのお客さんのなかには、かなり「頭が高い」というか、横柄な人もいました。
添乗員なんて、まるで自分の使用人のように、アゴで使えばいいと思っているような人でした。
 
 最近は、航空機のなかで、そんな日本人がいて 問題になっていますね。
先日笑ったのは、成田発の香港行きの飛行機のなかで、酒を飲んで隣に座って女性客の胸を触ったりするので、スチュワーデスが注意すると、持っていたグラスでスチュワーデスの顔に酒をひっかけたというのです。
それで、この日本人客はいったん台北で降ろされ、飛行機はまた改めて香港に向かったのですが、この客はその後、別の飛行機に乗せられ、後ろ手に座席に縛られたまま、香港に連れていかれ、現地で逮捕されたそうです。
おもしろかったのは、そのとき縛られながら、この客は香港に着くまで、ずっと歌を歌っていたんだそうです。何を歌っていたんでしょうね。香港だから、テレサ・テンの 「つぐない」?
 まあ、いわゆるただの酔っぱらいですが、覚めたら驚くでしょうね。とにかく、いったん飛行機を台北に着陸させてしまったのですから、ものすごい罰金でしょう。何百万円ではすまないかもしれません。
 わがままな人ほど性格がつかみやすい?

 そこまではひどくないですが、当時もかなりわがままなお客さんがいました。
 普通の添乗員ですと、そういうお客さんが苦手で、あまり近寄らなかったりするのですが、僕はけっして反発したり、サービスに手を抜いたことはありませんでした。
そういう人には、逆に他の人以上にこまめなサービスを心がけたくらいです。
どうも僕は、恥ずかしいことに慣れていたせいか、人に叱られることをあまり深刻に考えないタイプのようですね。本能的に、怒鳴られる前に、その人と親しくなっておいたはうがいいと考えたのです。
 ある旅行で、大変に横柄なお客さんがいました。
「おい、ビール買ってこい!」
「はい!」
「おい、小便したいから、バスを止めろ!」
「あの-? 急に言われましても……」
「止めろっていったら止めろ。止めないとお前に引っかけるぞ」
僕は運転手さんに言って、なんとか脇道にバスを止め、お客さんに用を足してもらいました。
 お客さんはすっきりした顔で再びバスに乗り込むと、今度は、
「速く走れ、遅いな、このバスは。もっとスピードが出ないのか」
 と、わがままいっぱい。
 そのうち、静かになったこの人は、隣のお客さんと、帰りのお土産のことを話しはじめました。
なにやら、それが気になってしかたがないようなのです。
 バスがようやくホテルに着きました。
 僕は、さっそくそのホテルのなかのお土産売り場に行き、このホテルに売っている土産物リストのなかに、そのお客さんが話していたものが載っていることを確認して、そのリストをお客さんに届けました。
「お客さん、お客さんがほしがっていたお土産、このリストに載ってますから、ここの売店でお求めになったら手間がはぶけますよ」
 お客さんは、リストを見るなり、僕の顔を見て、本当に安心したような顔になり、
「おうおう、よかった、よかった。うちのカミさんに頼まれていてね、いや、助かった。これで安心だ。ありがとう」
(な-んだ、威張っているけど、奥さんには頭が上がらないんじゃないか・・・・)
 そう思うと、その横柄なお客さんがかわいらしく見えたことを、いまでもよく覚えています。
 相手が横柄だったり、わがままだったりすることは、逆に言えば、それだけその人の性格がつかみやすいということだ、ということをこのときよくわかりましたし、このことが、その後、芸能リポーターになって、どれだけ役に立ったかしれません。



梨元勝氏は1944年生まれである。
大学時代に添乗員のアルバイトをしたのであるから、たぶん、1964,5年頃の話しではないだろうか。
日本の戦後復興が目に見え始めたとき、三種の神器なり、東京オリンピックの頃である。
黎明期の旅行が、優雅さ、ノンビリなどとはかなり縁遠いものであることがわかる。
今の国内格安観光ツアーの遠因がこの辺にあると感じとれる。
何でも屋のような立場が当時の添乗員であったのだろう。

たぶん、当時の旅行会社は、添乗員に任せたら、「あとはお前がどうにかしてこい」という風だったと思う。マニュアルも、アンケートもなかっただろう。まわりを気にすることなく、添乗員は自由だった。

梨元氏が、夜中に機転をきかせておばあさんにお茶を差し上げたことが、現代だったら、旅行会社のマニュアルに、
「夜行の場合、添乗員は睡眠せず、用事のあるお客様に備えること」と罰則付きで厳命されることだろう。もし、うとうとなどしてしまったら、大変!減給に、始末書か!
大きな違いじゃないだろうか!
お客も大きな違いだ。
親切心の気配りから、お客にサービスしたことと、マニュアルを恐れるあまりサービスしたのでは、同じサービスでも、その心情に大きな違いがある。お客はそれを必ず感じとる。


もう一つのお話。
梨元氏が、先回りしてお土産を斡旋してあげた、威張った客は、梨元添乗員に感謝したようだけど・・・・・どう思う?
現在の添乗員諸氏なら、こういうお客が、アンケートで添乗員に「悪い」をつけることが多いことをよく知っているのではないだろうか。
この横柄なお客は、「わが意を得たり!」ということで、添乗員を舎弟のようにこき使うことも考えられるのではないか?

ただ、梨元氏のいうように、横柄、わがままなお客の性格は、つかみやすい!ということは同感である。

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