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兵役ではなく海外旅行義務化を!

 岡田喜秋氏は、永年、JTBの旅行雑誌『旅』の編集長を務めた。
また、多くの旅の本を執筆している。
その博識には、誰もが尊敬の念を禁じ得ないであろう。


1996年に出版した『旅に学ぶ』岡田喜秋著、玉川大学出版部発行より



 人生を劇場に登場する人物たちにたとえるならば、「二〇世紀」という舞台にあらわれた人間たちの動きは、そろそろ終幕にちかづいたという感じである。
私には、とくにその感がふかい。
二一世紀まで生きていれば、七五歳になる。いま改めて、その歳月をふりかえれば、一口に言って、私は半世紀にわたって、旅をしてきた。
 「人生は旅」というのが、私の場合には、比喩的な意味の旅ではなく、二〇歳前から行動そのものとしての旅をしてきたので、この間の、世の中の変化が旅という行為にどのように影響を与えてきたか、を語りたくなる。

 まず、旅の手段としての「乗り物」についてみれば、二〇世紀の後半は、スピードを速くすることに血道をあげた感がある。
鉄道では新幹線、飛行機ではジェット機、一九世紀末までは馬車が走っていたことを思うと、この一世紀の乗り物の発明は、旅のイメージを変えてしまった。
とくに、第二次大戦後は、「月」への宇宙旅行まで可能にした。
 しかし、地球上の旅の現状を改めて評価するならば、その道中は楽しいと言えるだろうか。
旅のスピードがあまりに速すぎるのは問題だ、と人びとは感じている。
鉄道に乗って窓外の風景を観賞するなら、時速一〇〇キロ以下がいい、というデータがある。
排気ガスをともなうドライブ旅行の全盛も反省されつつある。
時速一二〇キロ以上でクルマを飛ばしつづけてアメリカ旅行から帰ってきた人に、その感想を聞けば、「左右の風景は印象に残っていない」と言った。
 『何のための豊かさ』という文明批評を書いたアメリカのリースマンは、二〇世紀の半ばにおけるドライブ旅行者を調査して「景色がいいといわれる場所でさえ、平均三〇秒しかクルマを停めていない」と指摘したが、ハイウェイの普及がスピードに拍車をかけ、旅をしても、旅情は稀薄になったというほかない。
 スピードヘの陶酔は、旅の記憶に反比例する。
旅は二〇世紀の進行とともに、味気なさを増した、とさえ言える。
そこで、この世紀末をみると、出発前から行動予定が決まっていて、波瀾もなく終始する旅への不満を訴える人がふえた。
ツアーとよばれる旅行よりも、トラベルヘの憧れが復活してきた。
 出発前から「お膳立て」がととのいすぎている旅行よりも、ハプニングがある方が魅力的だというわけである。
この事実に気づいた人びとが21世紀を迎えれば、旅の仕方はさらに変質するだろう。
その変質は、乗り物の評価だけでなく、旅の目的自体におよぶはずだ。
 すでに、今世紀末において、その兆候はあらわれている。自国と外国との「意識」の垣根がとりはらわれてゆく。
欧州は今世紀中に統合しようとしている。
フランス、ドイツ、スペインといった各国別のイメージがなくなると、どうなるか。
アメリカ人が「欧州という国」へゆく。
欧州で「国」という「区分」がなくなると、民族はどう変化するだろうか。
婚姻が混血を生むだろう。
歴史をふりかえれば、東ヨーロッパでは、新天地を求めて移動したゲルマン民族が、混血してフランク族を生み、西ヨーロッパでは、イベリア半島に上陸したアラブ系のムーア人がスペインにアラベスクという独特な文化をつくりだしたように、「国」の統合はかならず人種の変化をもたらし、発想をも変える。
時とともに、旅の仕方も変える。
 かつて、一八世紀には、イギリスの若い貴族たちが、島国意識を打破するために、パリやミラノに憧れて滞在型の旅をしたが、21世紀初頭には「新欧州」(EU)見聞の旅が普及するにちがいない。前者を「グランド・ツアー」と呼んだとすれば、21世紀からはじまる「新欧州めぐり」は「EU BOUND TRAVEL」と私は呼びたい。
 二〇世紀半ばの日本は戦争中だったので、当時学生だった私は、二〇歳をすぎると、兵役を課せられるという経験をした。
世界が平和だったら、私は外国へ行っていただろう。
不幸な青春だった。
戦後は幸いにして、兵役はなく、「成人の日」が制度化されている。
私は提案したい。
二〇歳になったら、全男女に海外旅行を義務づけて、グローバルな視野をもたせることだ。
「新欧州めぐり」をふくめて、個人個人がそれぞれの「視点」をもって、旅を通して「眼」をひらくのだ。
 現在の若者の志向をみれば、一八歳から取れる自動車免許に二〇日ちかい時間を捻出している。
思うに、半月程度の海外旅行は実行可能だろう。


*「ビジット・ワールド・キャンペーン(VWC)2000万人」推進室
(日本政府の観光政策の一番の間違いは、観光というと、すべて旅行会社と結びつけて考えるところだ。このような委員をみると、大手旅行会社の役員などがズラーッと名前を並べる。旅行会社が観光のプロという観念を捨て去ることだ)






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