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草原の国・モンゴルPart3

「大陸は大きい」と感じる。
真っ青な空を見上げると白い細長い雲が綺麗に整列して偏西風にのって西から東へ流れていく。
遠くに、かなり遠くに、グレーがかった雲の点が流れてくる。
その雲がどんどん大きくなると、風が強く吹き付ける。
真夏でもさわやかな風が緑の草原をなびかせる。
そして、グレーの巨大な雲が真上と通過するとき、大粒の雨を落としていく。
巨大な雲が再び点へと向かうとき、何もなかったかのように真っ青な空と太陽の光の中にいる。

たまに、グレーの雲が低く途切れなく押し寄せてくるときがある。
「また、夕立かな?・・・」
すると、ツーリストキャンプのアルバイトの女の娘たちが、大急ぎで、ゲルの端に束ねた帆を解き、屋根の上まで覆うように、あっちこっちの紐をひっぱっていく。
天気のいい時、ゲルの天井は手動のサンルーフになっているのだ。
そのうち、強い風と大粒の雨が一揆に襲ってくる。
「手伝おうか!」
「大丈夫」
と雨に濡れた顔を手で拭いながら、はにかみむように微笑む。
でも、やはり手伝うと、嬉しそうに見つめる。

私たち日本人も「モンゴロイド」といわれる。
だから、モンゴル人というと、皆、私たち日本人と同じような顔をイメージするだろう。
歴史の教科書に出てくるチンギスハンの肖像も似たような顔だ。
しかし、実際モンゴルへ来て見ると、モンゴル人とは、イメージしたような容姿でくくれるものではないことがわかる。
黒い瞳
ブルーの瞳
ブラウンの瞳
グレーの瞳
つぶらな瞳
切れ長の瞳
奥深い瞳
・・・・・・・
ユーラシア大陸を闊歩するいろんな種族、遊牧の民の血が混ざり合って、一つの共同体として今を生きているのだ。
混ざり合った血は、大自然以上に雄大な民族をつくったのかもしれない。


全ての日本のモンゴルツアーの目的は、「自然と動物と遊牧民」である。
草原、砂漠、山、湖、馬、駱駝、山羊を見たら、後は日本へ帰るだけである。
日本へ帰るためには、どうしても首都のウランバートルへ立ち寄らなければならない。そして、飛行機に乗るためにはここで日程調整をしなければならない。
だから、ウランバートル観光を目的にしているようなお客は普通いない。せいぜい、ホーミーと馬頭琴を聞くことと市場でキャビアを買うぐらいである。
もし、うまく飛行機に乗れれば、ウランバートルに宿泊しなくても何も問題ないだろう。
もう、旅行は終わっているのだから。

私も「今日は早く寝よう!」と思っていた。
長距離バスは、結構堪える。
スプリングのほとんど効かないバスだから、突然襲ってくる振動をモロに受けないようにするため、イスに深く座れないのだ。
浅く中腰で、とっさの振動も左右に流せるようにしておかないと、尻から血を吹くはめになる。

「疲れたなあ・・」
私の声にガイドが、
「疲れましたか?私は大丈夫です」
確かに、モンゴル人は丈夫だ。自然にはとても強い。
「もし、添乗員さん、疲れていなければ、どうですか?」
「どうって?何が・・」
ガイドは私の目を覗きこむように、
「ウランバートルにストリップできたらしい、です・・・」
「ストリップ?ストリップ、って何?」
 モンゴルでいうストリップの意味がわからなかった。
日本でいうストリップは、ここではイメージしにくかった。
ついさっきまで、大自然にもまれて、心身ともにピュアになった自分に、ストリップという言葉は死語に近かった。
「ストリップですよ!日本でもこう言うでしょう?」
「エッ・・・・!服脱ぐやつ?」
「それ、それ!」
「そんなのあるの?」
「私も行ったことがないんですが・・・」
彼も行きたいのだ。
「・・・・・よし!行こう!」

灰褐色の味気ないアパート群までやってきた。
夜暗く回りの風景ははっきりしないが、このアパート群は昼間、バスで通行中よく見かけた風景なのである。
旧ソ連時代に同じような公団をあっちこっちに建立したのだろう。この無機質の殺伐とした建物は旧ソ連圏の歴史遺産と呼べるかもしれない。

「こんなところにお店があるの?」
ここは住宅街ではないか。
あたりは静まり返っており、所々、小さな窓から黄色い灯りが外にこぼれていた。
そのほのかな光から、中の家族の団欒の様子が窺い知れた。
「確か、このあたりだと思うんですが・・・・」
小さな紙切れを握り締めて、ガイドが建物の壁にそって歩いている。
足元もどこも暗く、何を踏むか、何にぶつかるか、わからず不安に駆られる。
私ひとりでは、絶対に来ないだろう。
「もう、帰ろうよ・・・」
「いや、ここの2階だと思います。ちょっと待っててください」
と言って、ガイドは、日本でいう非常用階段を上っていった。

ひとりぼっちになると、何だか急に寒く感じる。
長方形のアパートの静かな群れの中に、モンゴル人たちが暮らしているのが不思議に感じる。
さっきまで見てきたモンゴル人は、皆、草原の中、ゲルで生活していた。
馬や山羊を放牧して、その乳をしぼってゲルの中の大きな甕に入れそれを長い棒でつついたり掻き回したりしていた。動物の糞を乾かしたり、ヨーグルト状にしたものを乾かしたりしていた。小さな子供たちは、大きなバケツを持って、下方の小池まで水を汲みにいっていた。
あの人たちと同じ人たちが、ここのアパートで暮らしているのだろうか?
ここで暮らしている人たちとゲルにいる人たちは、全く別な人種なんじゃないだろうか?

「やっと、見つけましたよ!」
ガイドがうれしそうに階下へ降りてきた。
「さあ、この上です!」

普通のアパートの入り口である。
看板や表札が出ているわけではない。ノブを回してあける一般的ドアだ。
中へ一歩足を踏み入れると、少し目つきのするどい男が、身体を舐めまわすように確認すると、室内のソファへ案内してくれた。
ソファに深々と腰を落として回りを眺めると、ドアノブの向こうとは全く違った世界が開けていた。
色とりどりのネオンサインがあっちこっちで点滅している。
少しビートのいい音楽。
そして、煙草の煙りのゆらいでいる奥に、かなり際どいシースルーを着た美女がうごめいている。
静止したスポットライトの中を行ったり来たりしながら、また一枚、そして、また一枚と・・・・
引き締まった体!均整のとれた手足!
「モンゴル人?」
「そう」

バーカウンターには、多様な酒のボトルが並べてある。
日本のサントリーバーと遜色はない。

「乗馬もいいけど、こっちもいいね!」
「そうでしょう!」
「こっちも乗れるの?」
ガイドがこの店のボスに聞きにいってくれる。

「こっちも乗ること可能です!こっちは簡単に乗れます!」
とガイドは微笑んだ。

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