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草原の国・モンゴルPart2

 草原の地からバスにゆられて首都ウランバートルまで戻る。
約7,8時間のバスの旅である。
のんびりとした景色をしばらく眺めていると、下りの坂道にさしかかる度にドライバーがエンジンを切ってしまうことに私は気付いた。
ガイドに尋ねてみると、もうガソリンが残り少なくなってきたらしく、このようにして節約をしているとのことである。
「ガソリンスタンドはないんですか?」
私が聞くと、ガソリンスタンドはこの先に一箇所だけあるとのこと。
そこを過ぎるともうウランバートルまでひとつもガソリンスタンドはないらしい。
まだ、2時間ぐらいしか走っていないから、あと5時間以上の燃料が必要のはずである。
私は、(どうにかガソリンスタンドまで我ミニバスを走らせてくれ)と念じながら、呑気に笑いながら会話をしているガイドとドライバーを不思議に思い眺めていた。

やっとのこと、ガソリンスタンドらしきただの広場のようなところまで到着した。
タンクが一つ置いてあり、人っ子一人いない静かな場所である。
私たちはバスから降り、思い思いに深呼吸する。
ヨーロッパツアーなら、必ず聞かれるであろう「ここで何分休憩ですか?」という問いもここでは誰も聞きやしない。
そんなことはどうでもいいのだ。
モンゴル人ガイドもドライバーものんびりとタバコをふかしている。
私は少し不安をおぼえた。
(ここで本当にガソリンが入れられるのだろうか?だって、誰もいないし、このきたないタンクの中にはたしてガソリンが入っているのだろうか!)

「ガイドさん、ここでガソリン入れるんですよね」
「はい」

「誰もいないようですね」
「はい。もうすぐ、来ると思います」

「――――――――」不思議そうな私に向かって、
「さっき、そこの子供を呼びに行かせました」

皆、思い思いに腰を下ろし、雲を眺めたり、花をつんだりしている。
待つこと30分ほどして、赤く日焼けしたモンゴル人婦人が子供とともに現れた。
そして、ドライバーと何やら話し込み始めた。
なかなかガソリンを入れる素振りのないドライバーを不思議に思っていると、ガイドが、
「添乗員さん、さあ、行きましょうか」という。
「ガソリンは!」
「ここにも今ないらしいです」
「えっ!」
ここにないということは、今後もないということではないか。
だって、ガソリンスタンドはウランバートルまでここ一つしかないとガイドは言っていた。
心配している私の横を笑顔のドライバーとガイドが通り過ぎる。
この二人の余裕は何なのだ。もしかしたら、予備のガソリンをどこかに積んでいるのだろうか。まだ、4時間近く走らなければならないはずだ。

私は不安の気持ちを奥に秘め、笑顔で、
「皆さーん、出発しますよ。バスに乗ってください」と叫んだ。
バスは再び、以前と同様に草原の道を走りはじめた。
下り坂になるとエンジンを止めて反動で上り坂の中腹まで上っていく。
と同時にエンジンを再びオンにするのだ。
その瞬間、ギーギーとクラッチ盤が擦れたような音がする。
とてもこのバスにも私たちの体にも悪そうである。
そのうちに、ついにエンジンがかからなくなってしまった。
バスは、のそのそと傷ついた体を引きずるようにアスファルトの道から脇の草むらにタイヤを落として停車した。

「少し休憩しましょう」ガイドが言った。
「どうしました?」
と質問する私に、これまた、落ち着いた風情でガイドが答える。
「ガソリンがなくなったようです」
予備のガソリンを用意する様子もない。
「だいじょうぶでしょうか」
という私に、ガイドとドライバーは何も答えずに、
バスから降り、まっすぐ伸びたこの草原の道の脇にしゃがみこみ、タバコをふかしながら、ニコニコとしゃべり出した。

そのうちに遠くから対向車が来ると、手を上げ停めて、何やらそのドライバーと話し合っている。
1台、また、1台、ウランバートルから西への幹線道路であるが、ほとんど車は通らない。
10分に1台がいいところか。
私たちもバスから下り、沿道からゲルや馬やらくだの放牧を眺める。
白い馬が「スーホーの白い馬」を想像させる。
そのうち、私たちのバスのかなり後方にもう一台のバスが止まっていることに気付いた二人は、のんびりとそちらに歩き始めた。私もついて行った。

そのバスは私たちのと同じ大きさだが、かなり古臭く外装はあちこち塗装がはげ茶色のさびが露出しており、片側の車輪が完全に路肩から落ちていた。
ブッ格好な体勢でどうにか地面に踏ん張っているバスの反対側の草原には、その乗客とおもわれる2,30人ばかりのモンゴル人の群れがしゃがみこんでいた。
遊牧民であろう、子連れの家族が疲れた表情でしゃがみこんでいる。
ガイドの話しだと、1週間に1本の路線バスが故障して2日前からこうやって修理人が来るのを待っているらしい。
そして、ウランバートルから修理人は未だ到着していない。
その間、この一行はここで野宿しながら、過ごしてきたらしい。
なんと気の長い話だろう。

わがバスは、傷つき瀕死状態のこのバスからどうにかガソリンを分けてもらえることになった。
このモンゴルではガス欠は珍しいことではなく、その場合、お互いに助け合うのが一般的らしい。
しかし、こんなに悲惨な状況にいるバスが私たちを助けてくれる。
青い空が、よけい青く見えた。
高い空が、よけい高く見えた。

「さあ、もう大丈夫!」
ガイドが元気よく微笑む。
パーン、パーン。ドライバーが軍手を2回打ち、運転席にかけ上がる。

「さあ、皆さん!そろそろ出発しましょうか・・・」

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