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旅行会社と公正取引委員会(白夜事件)

旅行会社と公正取引委員会のバトル・・・・・


1990
6月8日
公正取引委員会が大手旅行業者の海外主催募集パンフレットなどに不当表示があったとして排除命令

1991
11月2日
公正取引委員会から出された海外旅行募集広告に関する不当表示排除勧告に対し不服申立てを行っていたJTBが,公取委の審決に変更がなく勧告を受入れ



上記が、有名な『白夜事件』である。

公取委は、1990年6月8日、
日本旅行
日本通運
近畿日本ツーリスト
東急観光
名鉄観光サービス
日本交通公社
の大手6社に対して、「海外主催旅行に係る広告物の表示」規定違反で、排除命令をおこなった。

このとき、公取委は、何点かの違反に対して排除命令をおこなったのだが、その中で、「北欧の白夜」問題が特にクローズアップされた。
クローズアップされた大きな要因は、その公取委の命令に納得できないJTBが、不服申立てをおこない、審判へと持ち込まれたからである。また、マスコミまでまきこんで、どっちが正しい?と騒動までおこなったからである。

この北欧について、大手6社の募集用パンフレットとリーフレット(ちらし)の表示されている文言と写真が違反の対象となった。
(こういうことは、事前にお客からのクレームがあり、そのことに対して、公取委が調査をしてから命令が下る)

*北極圏イヴァロ・・・沈まない太陽/ミッドナイトサン
*北極圏ロバニミエの町・・・沈まない真夜中の太陽
*ノルウェー/バルト海クルーズ・・・白夜
(設定日で、白夜が見れる期間が限られる)

*バルト海クルーズ航海上・・・いつまでも沈まぬ真夜中の太陽
(同航路の北緯では白夜は見れない)

*北欧3国/バルト海クルーズ・・・白夜航路、白夜の大地
(白夜の写真掲載)

JTBは、自社のリーフレットの見開き部分で、
「ミッドナイト・サンーーー白夜の浪漫を求めて真の北極圏イヴァロへ」
「沈まない太陽を訪ねるラップランドでの一日のフィナーレは、ホテル近くの丘陵地より望むミッドナイト・サン(白夜)です」
と記載した。

JTBの主張は、

「白夜」とは「夏の日没後から日の出前までに見られる薄明かりの状態」であり、厳密に言えば、地平線下に太陽が僅かに沈み、太陽の光が夜空に映える状態をいうのであって、排除命令のように「沈まない太陽」を「24時間地平線下に沈まない太陽」と解すると「白夜」の概念と相矛盾することになる。
 したがって「白夜」を「沈まない太陽」と表現しているのは、「日本では普通太陽が沈んでいる夜遅い時刻でも、白夜を体験できる」と、ごく常識的に理解するのが通常だろう。
 しかし、排除命令に問題があるのは、このようなメッセージの読解の謝りだけではなく、それ以前に前後の文脈から明らかな「イメージ表現」を、一種の契約文言として捉えていることである。「白夜」といい「沈まない太陽」といい、いずれの表現もロマンチックな響きをもった表現の一つである。排除命令はこのようなイメージ表現をもって、旅行契約に基づく権利・義務を画する表現として捉えており、本質的に大きな問題である。




公取委の審決訴訟室長は、以下のように説明した。

「花のパリ、という表現は、一般にパリの華やかなイメージを表現する言葉として使われているものであり、パリにおいて〈花〉が観光資源となっているものではない。また、霧の摩周湖、という表現も一般に摩周湖の神秘的なイメージを表現する言葉として使われているものであり、摩周湖の霧自体が観光資源になっているものではない。したがって、花の咲かない季節のパリの旅行パンフレットに〈花のパリ〉という表現を用い、霧のかからない時期の摩周湖の旅行パンフレットに〈霧の摩周湖〉という表現を用いても・・・一般消費者に誤認されることはないであろう。
 これに対し夏期の北極圏では〈24時間沈まない太陽〉が重要な観光資源となっており、太陽が実際に沈む地域、時期の旅行パンフレットにおいて〈沈まない太陽〉〈ミッドナイト・サン〉という言葉を使用した場合、広告者が単に旅情を誘うイメージ表現のつもりで用いたとしても、その文脈等によっては、一般消費者に実際に〈24時間沈まない太陽〉が見られるかのように誤認されることになる」

『旅行の法律学』佐々木正人著 日本評論社より引用


結果、1991年JTBが負けたのである。
これは、ある意味、旅行会社が公取委に負けたのではなく、お客に負けたということである。

私は、公取委の言い分もJTBの言い分も正しいと思う。

「24時間沈まない太陽」という表現が、イメージだけの表現として認められるのか?いささか疑問を感じる。
「花のパリ」はいいけど、「花のオランダ」の場合は、必ず〈花!〉を見せなくてはいけないということだろう。
ただ、その後の旅行会社の表現に対するトラウマをみると、「白夜」「ミッドナイト・サン」という言葉に関しては、但し書き付きで、イメージ表現として認めてもよかったという気がする。この言葉に具体性はあまり感じないのだが・・・・

 1991年以降、北欧ツアーに、「白夜」「24時間沈まない太陽」「ミッドナイト・サン」などの表現が消えた。
「悠久の時を感じる・・・」
「自然体感・・・」
「透き通る自然・・・・」
「壮大な自然美・・・」
 今のパンフレットは、抽象的な語で、イメージを膨らませる工夫が施されている。

公取委の排除命令は、旅行業界が一番潤っていたバブル時のできごとであった。
その後、1993年を境に、旅行業界は下降線を辿る。
多くの旅行会社でリストラが実行された。
残るも地獄、辞めるも地獄であった!

旅行会社のお客様至上主義は一段と発車がかかった。
ユーラシア旅行社のような、過剰サービスの会社が急成長してきた。
HIS、新日本トラベル、近ツリのメディアなど、格安旅行会社が、特に売上げを伸ばし始めた。
バブル時、放漫経営に溺れ、モラルハザードを起こしていた企業は、見境なく、経済至上主義へと足をバタつかせた。
「正義」という踏み絵を踏める者だけが、大事にされた。

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