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インド・混沌ツアーPart1

首都デリー
「えっ!インドの首都はニューデリーじゃないの?」
と言われそうだが、インド人は皆、オールドデリーとニューデリーを一まとめてデリーと呼んでいる。
フランスのパリ、ドイツのフランクフルト、すべての古い町に新市街と旧市街があるが、誰もそれをニューパリとかオールドフランクフルトと分けて呼ばないように、デリーも新市街(ニューデリー)と旧市街(オールドデリー)を決して分けて呼ぶことはしないのだ。デリーは数千年の時を刻んできた町であり、常にニューとオールドの繰り返しである。
この街はひとつの町なのだ。

ただ、インドの場合、日本など比べものにならないくらい貧富の差が激しい。
中間層の少ないこのインドでは、日本のような中産的たたずまいが街の大部分を占めるのとは違って、見るからに美しいか、汚いか、である。
そして、その美しいものはすべて新市街にあり、汚いものは旧市街にあるのだ。

 日本のパックツアーのお客様たちは、出発にあたって、家族や会社の友人などから、よくこう言われる。
「インド行くの!なんで!あんな汚いところ!病気もってこないでヨ!」
確かに、今のインドは新たな紹介をされることが多い。
ITビジネス・・・BRICS・・・など、経済急成長中の国として注目を受ける。
ただ、多くの普通の人間にとって、やはり、インドは「悠久のインド」のままである。

首都デリーに到着する。
ニューデリー国際空港の埃っぽい生暖かい空気を感じた瞬間、『深い河』や『深夜特急』のキャストの一人となるのだ。

多少古めのバスに乗り換え、ニューデリーにあるホテルに向かう。
そのホテルは、たとえスタンダードクラスでも日本の地方の一級クラスの設備を持っている。
広めのロビー、レストランやショッピングアーケード、プールなどとヨーロッパのホテルより断然、質もサービスも高い。
ましてやもう少しグレードアップさせれば、ロビーに噴水やピアノの旋律とどこかのリゾート地へ来たみたいである。

観光では、お決まりのインド門、ラクシュミ・ナラヤン寺院、フマユーン廟、クトゥプ・ミナールとインドの歴史を訪ねる。
ニューデリー地区、または郊外にあるこれらの観光地は世界遺産にも指定されている一級観光地である。広い敷地はきれいに整備され、訪れる観光客も外国人、インド人含め優雅で礼儀正しい(インド人観光客は日本人とわかると、一緒に写真に写ってくださいとよく言う)。道幅も広く多少の交通渋滞を除けば快適であろう。両脇の景色も緑が多く、建物も質素で品がよく、人々も洋服やサリーや学生服を着た紳士淑女たちに見える。
食事はどうか。
ホテルの朝食ビュッフェは洋風に数種類のカレー料理もあり、かなり美味しい。昼食、夕食は街中のレストランを利用するが、中華、洋食、インド料理と飽きない工夫をしており、慣れない香辛料を除けば、衛生面、味付け、サービスとも満足のいくものだろう。

このように、インドではすばらしい旅行ができるのだ!

なのに、お客の顔は今ひとつ浮かない。
インドの壮大なる文化遺産の前に圧倒されたのだろうか。

バスはデリーを出て南西の町ジャイプールに向かう。
市内の観光地を回っている分にはまあ気にならないこのインドのバスもジャイプールまで約6時間近くの乗車となると、かなりお尻の具合も悪くなってくる。まあまあの舗装道路なのだが、ところどころアスファルトは剥がれ、牛などの動物様が交通ルールもお構いなしに往来している。土ぼこりも激しく、長時間の乗り心地は最悪である。
意識も朦朧としてきた夕刻、突然、後方の席からするどい絶叫が響いた。

「バスを停めろ!止まれ!」

先の信号で徐行していたバスをガイドがドライバーに言って脇に少し寄せて停めさせた。
「何だ?」
後方へ振り返る僕の眼に映ったのは、強烈なフラッシュの光線だった。
一瞬目の前が真っ白になったが、しだいに状況がつかめてきた。
何人ものお客たちが片側の窓から道路わきで生活しているインドの路上生活者たちを日本製カメラで撮っていたのだ。
ほこりにまみれ下半身はだかの子供たち、ズタ袋を背負うくすんだサリーを身につけた婦人、塀にすがりつくようにぼろ布でできた住まい。
ユニセフ募金の広告に出てきそうなこの風景。
お客たちはバスの窓から見下ろすように下方でうごめくインドの人々を写真におさめている。
シャッターの音がバス中に響き渡る。

「これなんだよ!これなんだよ!これがインドなんだよ!」

誰かが叫んだ。
「やっと、見ることができた。」
皆、目が輝いている。
デリーの世界遺産で輝かなかった目に光がさしている。
僕は正面を見据えた。
僕と同じように振り向いたガイドやバックミラーに写ったドライバーと視線が交錯した。
彼らの無機質なまなざしが僕の視線をゆっくりとかすめとっていった。

これでいいのだろうか・・・

一生懸命生きている人間に観光客風情が、観光名所の一こまのような意識でフラッシュをたいている。
なぜ、こんなことができるのだろう。
僕はこれをやめさせなければいけない、と心の中で抱きながら、口では、
「もうよろしいですか」と言っていた。

バスは走り出した。
さっき以上の倦怠感が僕の周りに流れていった。

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