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貧乏な観光

(『原点からの旅』小田実著)
 



貧しさが見えないはずのところに、かえって、貧しさがすけて見えるーーーその典型は、たとえば熱海の海岸に林立するビルディングのホテル群だろう。
東海道線、新幹線の駅から見ると、それはまさに近代的デラックスなホテル群だが、いざ、実際に降りてそのあたりまで足を伸ばしてみる、あるいは、ホテルの客になってみると、その「デラックス」の底にチラチラ貧乏がすけて見えて来るのである。
 貧乏がすけて見えるのは建物ばかりではない。私はこれはそのホテル群でのことではないが、東京で高名なレストランに入って、何か料理のことでボーイさんに訊ねたことがあった。
彼は「知らない」と率直に答え、それからまさにてんたんとした表情で、「こんなもの、一度も食べたことがないんで。」
 いや、それは客のほうも同じだろう。
その「デラックス化」されたお城のようなホテルに入って、大枚のお金を払うのであるが、そのお金の額は、いったい、彼の給料の何倍にあたっているのか。・・・・・



 観光業は、その利用者に普段とは違った、楽しみを提供するのが目的だろう。
しかし、全産業のなかでも、とくに、営業利益率の悪いのが観光業でもある。だから、なかなか設備などのメンテナンスでも、十分お金をかけてリニューアルすることもできない。
そのほころびを偶然眼にすることもある。
旅館やホテルでも、「ああ、ここ修理してないんだな」とか、「旧式のものを大事につかっているんだな」などと感じることがあった。
このような貧乏感以上に貧乏を目のあたりにするのが、ソフト面であろう。
従業員の笑顔にも、悲壮感や倦怠感が見え隠れし、「無理してんだんあ」と強く感じるのだ。

添乗員もしかり。
以前から、添乗員は貧乏であったが、土産物屋でもらったブランド品を身に付け、ごまかしながら、何とか頑張っていた。
しかし今では、旅行会社の締め付けで土産物屋も余分な負担はできないのであろう、添乗員にそのような寄付はなし、すべて自腹。
以前であれば、多少自己負担がかかってもショッピングコミッションが多少入ればまあいいか!という気持ちがあったが、今では、給料は低額のうえ、現地での入りがないのだから、これで万が一、現地で自己負担になるようなことでもあれば、完全に生きていけない。

自己負担って何か?といえば、当然添乗員といえども、喉も渇くし、洗濯(ランドリー)もしなくてはいけないし、枕銭だって出さなければならない。そういうものを必要最低限にしようと思う。また、旅行会社の用意する世界最低額の現地のガイドやドライバーのチップ額では、この人たちが怒ってしまうだろう!少し上乗せしたほうがいいかと悩む。食事の際のテーブルチップでも、客が全く置いてくれなければ添乗員として後ろめたいだろう!フリータイム時に一緒に利用した、タクシー代やコーヒー代だって、客から言ってきてくれなければ、添乗員側からは請求しづらいだろう!
(細かいことをいえば、為替レートでさえ、旅行会社が有利なようにできており、必ず添乗員が損をする。)

これを自腹にしてしまったら、ただでさえ、暮らしていけない給料が目減りしていくのだ。
こんな余裕のなさが、添乗員の表情に出てくる。
「貧乏」が体全体からかもし出されるようになるのだ。

添乗員をそんな状態にしておきながら、旅行会社はお客にこのように言うのだ。
 添乗員が自慢です?
精神面、生活面、金銭面で余裕がないと、とても、旅行会社かいう下記のような添乗員にはなれない!
「経験豊富な」「経験豊かな」「良し悪しは添乗員で決まる」「きめ細かな」「コンシェルジュ」

客もまた、貧乏だ。
特に、精神面でとても貧乏なのだ。
確かに、金銭面でも、「貧乏くさい」者はたくさんいるが、ほんとうの貧乏であれば旅行に行かないであろう。
「貧乏くさい」者の貧乏くささは、精神面が原因のことが多い。

水が有料だと聞くと飲物の注文はせず、パサパサの肉やパンを必死に飲み込もうとしている者。
それでいて、路上の売り子から、プラスチック製のカメオのブローチ4個を1万円で買う者。
1000円の入場料の美術館が自腹だと聞くと、庭園だけ写真撮って帰る者。
空港のイミグレーションで、反復横跳びのごとく、ブースをずる入りする者。
5000円をホテルで両替して大損したかのように文句をいう者。
トイレチップがもったいないから、ホテルまで我慢している者。
朝食のビュッフェのパンやフルーツ、あげくは、ジャムやバターまで、カバンにつめて持ち帰る者。
日本製のカメラやビデオを自慢する者。
ガイドの説明を一生懸命、メモしている者。
・・・・・・・・・・・・・

これらは、旅行者自身の問題ではなく、旅行会社や添乗員が、自分たちが都合いいように、誘引した気がするのだが。
だから、旅行会社、そのマニュアルどおりに動く添乗員の責任は大きい。



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