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アミューズトラベルが営業停止

アミューズトラベルが営業停止した。
2009年の北海道トムラウシの遭難事故からどうにか再起の見通しがみえてきた矢先、万里の長城のあの遭難死事故が起きた。
事故直後、テレビに映し出されるアミューズトラベルの社長は疲れきった顔をしていた。
「申し訳ございません」と頭をさげる社長の表情に生気は感じられず、今回の営業停止はすでにそのとき考えていたのではないだろうか?

*東京商工リサーチ アミューズトラベル(株)

 ~主催旅行「万里の長城」で遭難死事故~
 アミューズトラベル(株)(TSR企業コード:870356917、千代田区神田駿河台2-8、設立平成3年10月、資本金5000万円、板井克己社長、従業員45名)は「12月20日を最後に、営業を停止する方向。同日、従業員(役員を除く)は全員解雇の予定で、その後、社長以下役員3人は遺族への対応などを行う」(会社)としていることがわかった。当社主催ツアー客の日本人3人が11月、中国の万里の長城で死亡した事故が主因。

  福岡市博多区で設立され、主に登山やトレッキングを目的とした旅行を企画していた第1種旅行業者。大阪、名古屋、福岡、仙台、広島に支社・支店・営業所を構えていた。各地の登山などに関する会の会員や、当社で冒険などのクラブをつくり顧客を拡大。平成20年3月期にはピークとなる年商約15億200万円をあげていた。

 しかし、21年3月期は減収に転じていたうえ、同年7月に主催したツアーでは北海道の大雪山系トムラウシ山で8人が死亡。観光庁から51日間の業務停止命令などを受けた。22年3月期の年商は約12億円に減少し、その後の売上も軟調推移だったところ、24年11月には中国の万里の長城で当社主催ツアー客の日本人3人が死亡していた。


 事故直後、マスコミは、アミューズトラベルの無責任さを報道した。現地のランドにまかせっきりで「安全確保」を怠っていたと・・・・・

 しかし、何かすっきりしないものを私は感じてしまう。
 どうしてなんだろう・・・・・
 「安全確保」のもっとも身近にいた添乗員のことが気になるから・・・だろうか?

 最初から最後まで同行する昔からいる添乗員である。
 つねにお客様の傍に寄り添って、お客様のことを心配している添乗員だったのではないか。お客様と共に70キロまで走破してきた・・・お客様と喜怒哀楽を共有している添乗員ではないか。もちろん、「安全」ということは大事なことだと思っていただろう。だが、お客様が万里の長城を走破して喜ぶ姿も見たいと思っていただろう。それは、お客様の傍にいたからこそ強く感じられたことではないか。

 いい加減な会社や添乗員のせいで、「安全」が脅かされることは確かにあることだろう。
 しかし、お客様と価値観を共有すれば、ぎりぎりの選択、「危険」にぎりぎりまでせまる「安全」の選択をしたいと添乗員が思うのも当然ではないだろうか?
 もし、この添乗員がお客様と一緒に行動することが少なければ、お客様と鼓動を共有することもないわけだから、もっと事務的に「安全確保」ということを言い出せたかもしれない。

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アミューズトラベル「万里の長城トレッキングツアー」遭難事故

再びアミューズトラベルーが遭難事故をおこした。
2009年の北海道トムラウシの遭難では8人亡くなった。今回の中国・万里の長城では3人が犠牲になった。
前回の事故後もあまり反省しているように見えなかったので、やはりか・・・・と思ったが、新聞やテレビの報道をみると、前回とすこし違うように感じる。
 前回のトムラウシ山では、ガイドの判断がお客様の生死を決定してしまったと思われるが、今回ははたしてガイドや添乗員の判断で危険を回避できたのだろうか?と考えてしまう。

テレビや新聞では、アミューズトラベルが、事前に下見をしていなかった!とか、現地まかせ!ということを強調している。格安の落とし穴!だとか、前回と同じ過ちの繰り返し!だとか・・・・・・そして、監督官庁は何をしていたのか!と。

そもそも、旅行会社のツアーなどほとんどが下見などしていないのではないのか?
ほとんどが現地まかせではないのか?
いちいち下見などしていたら、ツアーが高額になって大変だろう。現地手配会社や各政府観光局の企画やプロモーションを旅行会社が検討しながら、適当なツアーづくりをしているのではないのか?
私などもたまに、旅行会社から「このツアーはあなたが一本目ですから、下見をかねて添乗してきてください」とか言われることがある。
まあ、もし旅行会社が下見をしていたとしても、下見の経験をそのツアーすべてに当てはめることはできないだろう。
また、現地の手配会社のいうことだからすべて信用できるかというと、現地手配会社の作成した日程表が結構いい加減だったりする。行程の時間配分が完全に間違っていたりするのだ。

大手旅行会社だってその程度だ。
それに比べたら、今回の事故にあったアミューズトラベルのツアー日程は、良心的に作られたものではないのか?アミューズトラベルの中国人スタッフが一生懸命、企画したのではないか・・・・途中休息日があってもいいだろうが、そう無理のある日程とは思われない。9日間の日程で、残り3日のところまで無事に着ていたのだから。万里の長城100キロ走破の70キロ以上がんばってきた。あと残り2日間、30キロ足らずだ。当日の天候は、夕方から雪ということで、朝方は、ちらほらと雨が降り出したようだ。この状態だったら、ガイドも添乗員もお客様も、「いける」と普通に思うのではないだろうか?その時点で走破を中断する決断などありえるのだろうか?
はたして、マスコミがいうように、旅行会社が下見をして現地まかせにしなかったら、安全確保義務がはたらいて、この時点で中断したのだろうか?

*万里の長城グレート・ウォール100kmトレッキング9日間

添乗員やガイドが普通の携帯電話しか持っていなかったことも指摘されていた。ハイテクの衛星電話があればSOSが可能だった。ただし、SOSをしたところで、大雪で誰も現場まで助けにいけなかったはずだ。

今回はアミューズトラベルがいうように、確かに「想定外」の大雪だったのだろう。旅には常にこのような「想定外」のリスクがつきまとう。その「想定外」のリスクを最小限の犠牲で食い止めるのが、旅行会社の義務であり「安全確保」ではないだろうか。

今回の事故でアミューズトラベルに責任があるとすれば、下見をしていなかったことや現地まかせのことではなく、この会社の管理職が簡単に「想定外」と言ってしまう会社の体質のほうではないか。「安全確保」に対する意識がもともとトップ以下低いのではないだろうか?

今回の万里の長城の遭難死亡事故において、アミューズトラベルの法的な責任は発生しないと私は思う。断定できる過失を探し出すことは不可能だろう。その点は、前回(2009)の北海道トムラウシとは違う。
ただ、登山などアドベンチャー要素の多いツアーを企画する場合、旅行会社は、二重、三重に「安全確保」をして当たり前ではないだろうか。危険と常に背中合わせであることぐらい十分承知していたはずだ。それを、「想定外」と言ってしまうということに、前回の事故以降も「安全確保」と真摯に向き合おうとしなかったアミューズトラベルの姿勢が感じ取れる。

事前に現地のランドと安全確保について十分なやり取りがあったのだろうか?
下見をしなくても安全を担保できるだけの信頼関係がランドと築けていたのだろうか?
自然災害でなくても、ひとりの参加者の具合が悪くなることだって当然考えられたはずだが・・・・
前回の教訓を生かすとすれば、比較的安全と思われる山岳ツアーでも、緊急時のビバーク用具くらい添乗員(この会社は添乗員のことをツアーリーダーという曖昧な表現をつかっているが)に担がせていくべきだったのではないか?

そこまでして事故が起きた場合でも、主催旅行会社は、想定外とは普通言えないだろう・・・・


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北海道遭難事故の死角

 昨日(7月23日)のNHK「クローズアップ現代」で、北海道遭難事故を取り上げていた。
生存者の何名かが、当時の状況について、生々しく、説明していた。
その方々の話を聞いて、改めて、山岳ガイドの責任は重いと感じた。
生存者の話だけで、正確な状況は把握できないとは思うが、私なりに感じたポイントを整理してみる。

ポイント
①16日の早朝、天候がかなり悪いためガイド3人が本日の予定について打合せをしたらしい。そこで、午後には天候が回復するとみて、出発を決意したようだ。その際、参加者たちには、何も伺いを立てなかったとのこと。
(私は、ガイドが客に伺いを立てる必要はないと思うが、自分が正確な判断するための材料をお客から得なければならないと思う。そのことをしっかりとおこなったのかどうか疑問である。なぜなら、生存者は、そのとき聞かれたら、今日は止めたほうがいいと言っていたと思うという風に話していた。)

②雨の中の行軍で、しかも、途中川のようになっていたため、身体中を水に浸かりながらそこを渡ったらしい。(この状況を見て、引き返すことができなかったのだろうか?)

③体力を奪われた者が、本体から遅れ始める。そして、動けなくなる者が出る。先に進んだ者たちは、冷たい雨の中、後方の者たちを1時間以上待っていたようだ。(これは、明らかに、緊急の際のシミュレーションをガイドが認知していないということではないだろうか。この時点で、プロの山岳ガイドであれば、動けない者の状況を把握して緊急事態だと判断できたのではないか)

④先に進んだ者たちは、このままでは自分たちもあぶないとのことで、山岳ガイドを先頭に、下山へ急いだ。だが、冷え切った身体は思うように動かず、山岳ガイドの早いスピードに皆ついていけなくなった。みな、一人一人となり、初めての山で、どこへ進んでいいのかわからなくなり、そのまま力尽きた。(はっきり言って、これが山岳ガイドがすることだろうかと思ってしまう。客の安全確保が何より優先ではないのか。助けを求めに行くのでも、客が死んでしまっては元も子もない。この山岳ガイドは本当にライセンスガイドなのだろうか?)


こう見ていくと、やはり、山岳ガイドの責任がとても大きいのではないだろうか。
旅行会社が、しっかりと山岳ガイドの技量を確認したのかという指摘もあるのだが、このへんはすごく難しい問題だと思う。あまりにあれやこれや旅行会社が指揮をすると、プロフェッショナルなガイドには不満であろう。旅行会社は、山岳ガイドの信頼に値するデータとともに、徐々に簡単なコースから難度の高いコースへ移行しながら雇用するしかないだろう。
ライセンスを経験と実技や人望などで評価できないものだろうか・・・・

そのような意味からすると、旅行会社の責任はなかったのか、ということになる。

そこで一つ気になるのは、放送「クローズアップ現代」において、山岳ガイドの方々が、「安全運行管理」だけではなく、旅行会社の営業的な立場から帰りの飛行機のことなど日程どおりに遂行しようとする意識が働いてしまう、というようなことを言っていたことだ。
つまり、山岳ガイドに、添乗業務もやらせているという問題である。

 山岳ガイドとは、自分も山が好きで、自分の山の経験を仕事にしている人がほとんどではないか。
そこには、社交的で話上手なイメージはない。
無骨で正直なイメージがある。
そのような者たちが本来、登山者(お客様)のことを考えないわけはないと思う。
仲間(お客様)の安全を考えないわけはない。
そのような者たちに、添乗業務(旅程管理)という別な視点を持たせてしまった。
強いリーダーシップの必要な登山において、サービス業的な判断を重複させた。
添乗員さえいれば、煩雑な作業に意識を奪われることなく、プロのガイドとして、お客との距離を保ちながら、自信ある決断や助言ができたかもしれない。

そして、もしかしたら、旅行会社は、お客に、山岳ガイドを「アンケート」で評価させていたかもしれない。

・ガイドはいかがでしたか?良い 普通 悪い
・ガイドの対応はいかがでしたか?良い 普通 悪い
・ツアーに満足していますか?良い 普通 悪い
というような。

純粋な者ほど、多大なプレッシャーを受ける。
それは、山岳ガイドとしてだけでなく、添乗員としても評価されてしまう。
そのことは、必ずや山岳ガイドとしての意識に変化を与えるはずだ。
彼らの視点は、登山者(お客)から、旅行会社へと間違いなく変わる。
もうその時点で、山岳ガイドではないのではないか・・・・・

放送では、お客についても、観光気分で気軽に参加している!ことを問題視していた。
登山ツアーでは、初心者から熟練者まで、いくつかのカテゴリーに分けている。
確かに、熟練向きなコースに初心者が混ざっていたら、団体の運行はむずかしいと思う。
正確に分けるにこしたことはないが、あまり厳密にしたら、お客にプレッシャーをかけることにもなる。
基本的に、「ツアー登山」なんだ!という意識を参加者に浸透させ、少々のリスクでも日程変更をすることを理解させることも大切ではないだろうか。

 

北海道・遭難・登山ツアー
北海道・登山ツアー事故に思うこと
登山ツアー・リーダーとは?


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登山ツアー・リーダーとは?

 私は、何度か海外の「登山ツアー」の添乗員をしたことがある。
現地山岳ガイドを雇って、ベースキャンプを上げながらの登山である。
ザイルやピッケルのような道具を使用するほどではないが、2000m~5000m辺りの道なき道を縦走したりするから、かなりきつい。

現地についてから、現地山岳ガイドと詳細に打合せするのだが、その時点で気づくことも多い。
日本出発時に知らされてなかったことや旅行会社の持っている情報がかなり古かったりする。

添乗員として、旅行会社に責任がかかならいように、旅行日程を微調整しなければならないときもある。

山岳ガイドに、私が云う。
「このルートで行けると聞いているんだけど」
「1ヶ月前までなら、行けた。しかし、この地点で地震による落石があり、今このルートで行くのはとても危険だ」
「1ヶ月前にわかっているなら、なんで、旅行会社へ連絡くれなかったんだろう!」
「いや、連絡したはずだ」
「・・・・・・」
ここでもめても仕方がない。

「この地点だけ落石したのであれば、ここだけ迂回して行けばいいのではないか」
「それはとても危険だ。ここが落石したということは、このあたりすべてが危険だということだ」
「だけど、その後、大きな落石はないんだろう」
「危険があるということが、重要なんだ」
「どうにか、このルートで行けないだろうか」
「無理だ!」

このガイドは、ガイド団体のリーダーを務めるほどのベテラン山岳ガイドであった。
もしも、私は、強行にこちらの主張を通して事故にでも遭ったら、このガイドが罪に問われることになったはずだ。私は、とても理不尽な主張をしたと反省している。

ただ、すべての山岳ガイドが、このベテランガイドのように、自信を持って、はっきりと断言できるとは限らないのではないか。
また、旅程管理者としての添乗員であれば、不透明なリスクより、お客に対しての債務不履行を先に考えてしまうのではないだろうか・・・私のように。


「恐れ入ります。
数日前、予定していたルートで地震による落石が発生しました。ガイドの話ですと、このルートで走破することは、現在認められていません。よって、ガイドと相談の上、別なルートで行くことにしました。」
私は、嘘をついた。

このあとも大変であった。
お客の一人が、自称、かなりの登山歴であった。
彼が、しつこく、どの程度の落石なのか?と聞いてきた。
そして、その程度なら、日本では問題なく行くことができる、と主張してくる。
声が大きく、主張の強いお客の意見が、、客全体の意見のように錯覚してしまう。

「どうにか、ならないか、添乗員さ~ん!」
「そうは云われましても、こちらのライセンス・ガイドの決定には逆らえませんので」

山岳ガイドが私に言った。
「みな、初めてここに来たんだろ・・・私は、何度もここの山々を登っているよ」


山岳ガイドのこの言葉の意味がとても深いと、私はその後気づいた。

この山岳ガイドは、私たちお客を初めて見た段階で、どのルートが最適なのかをしっかりと判断してくれていた。
だから、あえて危険なルートを取らずに、安全で2次災害の恐れの少ないルートでの登山を勧めてくれたのだ。


最後に、お客の皆が、ガイドと仲良くなり、お礼をいい、満足して帰国したのは云うまでもない。

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北海道・登山ツアー事故に思うこと


先日の北海道・登山ツアーの死亡事故で、旅行会社の事務所が家宅捜査されたようだ。

JATAの「ツアー登山部会」のページをみると、そこに、登山ツアーのガイドラインが示されている。
ガイドラインを読むと、今回のツアー会社が、そう大きくガイドラインを違反して、ツアーを企画したとは思えない。
そうなると、企画後の履行において、特に主任ガイドの判断ミスが事故要因となる公算が大きい。
どんなにすぐれたガイドでも判断ミスはあると思うが、今回の場合、その判断ミスが何度か続き、2次災害、3次災害へつながっていったようだ。
たぶん、よいガイドとの違いは、判断ミスのリカバリー能力にあると感じる。
旅行会社、山岳ガイド、お客さん、の私利私欲から招いた事故ではないだけに、なんかやるせない気がする。
自然をうらんでみてもしょうがない。
やはり、原点に立ち帰って、命の重みというものをよく認識するしかないのではないか。
今回の事故経過のどこかで、「一番弱者の命の重み」を認識できていれば、大災害まで至らなかった気がしてならない。
それを阻む何か要因があったのなら、それを突き止め、被害者の霊を弔さなければならないと思う。



下記(ツアー登山部会ガイドライン)の太線の部分が今回の事故の原因と考えられるのではないかと思う。

ガイドライン抜粋

第Ⅰ章 安全対策
(1)企画立案段階におけるコース内容の把握(実地調査、直前調査等)取扱会社には、企画立案段階から「安全配慮義務」がある。
とくに募集型企画旅行においてそれは明らかであるから下記に注意すべき要点を例示する。

① 目的地についてすでに充分な知識があること
② スタッフが実地調査をすでにおこなっていること
③ 現地からの直近情報を入手すること
④ 参加者が余裕をもって行程を消化できる具体性のある計画であること
⑤ 避難ルートの想定や、連絡体制、レスキュー体制等、危急時における具体的対応ができること等々である。

さらに下記に例示した要点を徹底履行することは、ツアー登山の安全運行のために重要なことである。

① 直前情報収集の重要点は、出発数日前からの気象変化の予測であり、登山道の状況把握である。また登山ルート上において利用できる便所の有無と有人無人の山小屋利用の可能性についても確認すべきである。
② 登山ルートにおける登下降の標高差と一般的コースタイムの確認及び避難ルートの事前設定は重要である。また通信機材の整備は不可欠であり、同行引率者間における意思疎通のために無免許で使用できる小型無線通信機や外部との連絡のために携帯電話や無線通信機を携行することが望ましい。
③ 危急時における連絡体制として会社内に留守本部を設置し、現地からの緊急連絡に対応できる態勢を整えておくべきである。事故発生時は、セルフレスキュー(自力救助)が望ましいが、現場において極めて困難か不可能と判断した場合は、公的あるいは民間の救助組織に現場引率者が救助依頼の第一報をおこなった上、緊密に連携し、速やかに事故者の救助にあたるべきである。


(2)引率者の技量及び経験度合いの確認と管理監督
①引率者のうち主任の者は、登山リーダーとして充分な知識と技術を有し、かつ担当コースについて充分な知識を有していることが必須である。また、引率者としての見識がなければならない。とくに、救急法及び搬出法等基本的なセルフレスキューの知識と技術を有していることが必要であり、緊急事態において通信機器が活用できない場合は、連絡要員としての技量が問われることになる。
引率者として要求されると考えられる能力を下記に列記する。
(1) 責任感、使命感、倫理観を充分にもち、引率者の役割を理解していること。
(2) 旅行業に関わる法令等を理解していること。
(3) 装備、食糧等準備段階において適切な安全配慮ができること。
(4) 実地において危険の存在を説明し、注意喚起できること。
(5) グループの編成能力があること。
(6) 歩行速度と休息について適切な判断ができること。
(7) 被引率者の歩行能力、技術、健康状態等を的確に把握し、過度に疲労させないこと。
(8) クサリ場、梯子、崩壊地等、危険が予見される場所においてその通過に際し、指導、
助言ができること。
(9) 悪天候や不明瞭な登山道等において危険回避の指導、助言ができること。
(10) 地形図の読図能力があること。
(11) 気象に関する知識があること。
(12) 緊急不時露営の判断ができ、設営技術があること。
(13) 救急救助法の基本的知識と技術があること。
(14) 救助要請の方法、救助隊との連携について理解していること。
(15) 安全配慮義務を理解し、「努力義務」を徹底履行できること。

②取扱会社は、引率者に対して引率時の注意事項の徹底や事後報告の提出等によって引率者を適切に監督し、その技量及び経験度合いについて、登山歴、講習会受講歴、保有資格等の提示など適切な方法によって適正に確認すべきである。



このガイドラインでは、「引率者」の能力というものをしっかりと明記し、旅行会社はそれを保有資格などにより確認することと記している。
ガイドラインとは、法律ではなく、あくまで、指針であり、上記のようなことを推奨するということなのだろう。
ただ、ここで言う「引率者」とは、具体的には、「山岳ガイド」(ライセンス・ガイド)を指すはずである。
もし添乗員(旅程管理主任修得者)が、山岳ガイドの資格をもっていたとしても、添乗員として同乗するかぎり、「引率者」ではない。上記のような「引率者」としての責任を、添乗員に負わすことはできない。
もしこの添乗員(旅程管理主任修得者)が、「山岳ガイド」として、ツアーに同乗したのであれば、「引率者」としての責任を負わすことができる。

そして、このガイドラインでは、「登山ツアー」とは簡単なハイキングも含まれると書いてあるのである。

このガイドラインで述べる「ツアー登山」とは、無雪期における「登山」、「トレッキング」、「ハイキング」等、縦走登山から軽登山まで、自然界において行動することを主たる目的とする日程が含まれている旅行企画を言い、国土交通省及び各都道府県において旅行業登録をしている旅行業者が取り扱う、本邦内における「募集型企画旅行」、及び「受注型企画旅行」を言う。「手配旅行」及び宿泊クーポン、乗車券類等の「単品販売」はこれにあたらない。



だから、今シーズンを迎えている「富士登山ツアー」も当然この範疇に入ってくるであろう。
一大観光地であり、しっかりとした登山ルートが設けられており、山小屋は何件もあるからといって、決して、安易なバスツアーと考えてはいけないということだ。
上記のガイドラインに沿ったツアー企画を旅行会社はしっかりと立ててほしいというのが、ツアー登山部会の指針である。
その意味では、クラブツーリズムの富士登山は、しっかりと企画したと云える。
登山ガイドと添乗員の2人体制で、お客様をサポートする。これがベストの「引率者」である。
登山ガイドが、ガイドをおこない、添乗員が旅程管理業務をおこなう。

それに比べて、HISの富士登山ツアーは、ガイドラインを大幅に逸脱している
このコースでは、「案内人」が山小屋までご案内!するらしいが、「案内人」とは、山岳ガイドではないようだ。しかも、山小屋まで!ということは、あとは、山頂まで・・・そして下山と、客自身で行動するということだろう。しかも添乗員なしのツアーだ。
これは、募集型企画旅行である。
募集型企画旅行であるかぎり、ツアーが終了するまで(出発地に戻るまで)、HISにすべての責任がある。
安全確保義務、保護義務、旅程管理義務などすべてである。

富士登山ツアーなら、スイスのハイキングのほうが、ぜんぜん楽である。
ここでいうハイキングとは、たとえば、ユングフラウのクライネ・シャイデック駅からグリンデルワルドまでの下りルート、マッターホルンのゴルナーグラード駅からツェルマットまでの下りルートなど、最もポピュラーなコースを指す。
はっきり云って、このハイキングより、大都市の散策のほうが何倍も危険なのだが、「ハイキング」ということが重要である。

もし、ハイキングが日程に書かれていないのであれば、添乗員の裁量でうまく組み込むことが可能と思われるが、日程に書かれたハイキングであれば、専門家でもない添乗員に裁量が任されることに後々大きな問題が生じる場合もありえる。
たとえば、小雨が時々ぱらつき、少し風も強かったらどうする。
日程にハイキングについて、何も明記されていなければ、「太陽も出てないようだし、こんな天気にハイキングするより、早く町に下ったほうがいいか・・・」となるのではないか。
これが、日程にハイキングと明記されていたら、もちろん、ハイキングを実行するだろう。
これぐらいの天気で大きな問題は生じないはずだが、万が一、お客の一人が濡れた遊歩道で足を滑らせ足首をくじいてしまい、「この天気にハイキングをするからだ」といわれたら、どうする。
添乗員だから、判断を誤ったんだ!
山岳ガイドがついていても、上記のような事故は起きるだろう。
でも、お客は、その際、山岳ガイドを責めずに、自分の不注意を認めるのではないだろうか・・・・・


旅行会社は、料金を安くして、内容を魅力あるものにしたい。
余計な人件費はなるべくかけたくない分、既成の添乗員に何でもやらせようとする。
少し、派遣会社を叩けば、前と同じ日当で、すべて引き受けてくれる。
そうして、今まで、現地ガイドを削除してその分添乗員にやらせたり、日本語ガイドを削除して添乗員に通訳をやらせたりしてきた。
そのたびに、添乗員は、相当!!の時間を割いて知識を習得し、責任まで負わされてきた。
そのことに、一銭の報酬も経費も旅行会社から支払われることはなかった。

そして、「山岳ガイド」的なことまで、旅行会社は、添乗員にやらせようとする。
スイスのハイキング程度のものでも、山の「ハイキング」であるかぎり、添乗員は、上記のガイドラインをしっかりと熟知し、そのための知識を修得し実務経験を積んでおくことが望まれるだろう。
これも全部自腹となるだろう!
そして、それを積んだからといって、1円たりとも報酬が増えるわけではない。
添乗員は、お客のため、自分のため、その勉強をするということだ。

添乗員に「山岳ガイドもどき」をさせることは、法令違反ではないだろう。
ただ、万が一事故が起きたときの責任は、100%旅行会社が負わなければならない。
添乗員に過失があったとしても、「山岳ガイド」ではない添乗員に責任を負わすことはできない。
旅行会社は、そこまで、腹をくくっているのだろうか・・・・

お客は、よくパンフレットを観察して・・・・
良心的な旅行会社は、ハイキングやトレッキングの部分に現地山岳ガイドをちゃんと配置している。


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